エージェント経由の案件を法人で受ける手順|必要書類3つと、副業時代の個人契約を法人に切り替えたときの実務【ひとり合同会社】

エージェント案件を法人で受ける手順
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📢 本記事は、ひとり合同会社の代表社員・ゴウが、主要なフリーランスエージェントの公式FAQ、国税庁のタックスアンサー・インボイスQ&A、公正取引委員会のフリーランス法の資料をもとに書いています。内容は2026年11月時点のものです。契約条件・必要書類はエージェントや案件で異なるので、必ず自分の契約先で確認してください。一部にアフィリエイト広告(PR)を含みます。

「会社を作ったけど、エージェントの案件は法人でも受けられるの?」「副業時代に個人で結んだ契約は、どうやって法人に移すの?」——会社員のまま合同会社を作った人が、独立の直前に必ずぶつかる疑問です。結論から言うと、一人社長の法人でもエージェント経由の案件は受けられます。必要なものは実質3つ(代表者本人が稼働すること・履歴事項全部証明書・法人名義の口座)で、切り替えは「契約主体を法人に巻き直す」作業です。

この記事では、主要エージェントの公式FAQに書かれている法人契約の条件、必要書類のチェックリスト、副業時代の個人契約を法人に切り替えたときの流れ、法人で受ける場合と個人で受ける場合の違い(源泉徴収・インボイス・社会保険・契約書)、そして従業員のいない法人もフリーランス法で守られることまで、独立後に法人としてエージェント経由の案件で働いている私の実例つきで整理します。

ゴウ
ゴウ
私は2023年2月に会社員のまま合同会社を作り、5月に副業の売上を法人へ移して、9月末に退職しました。副業時代の契約はエージェント側で法人用のアカウントを作ってもらい、そちらに契約を移す形でした。独立後に法人として契約したエージェントで、法人だからという理由で断られたことは一度もありません。

エージェントは「一人社長の法人」と契約してくれるのか

まず不安なのは「法人は対象外と言われないか」でしょう。主要エージェントの公式FAQを確認すると、法人契約を受け付けると明記している会社がいくつもあり、残りの会社も「不可」と書いているわけではなく、記載がないので個別に問い合わせる形です。

公式FAQに書かれている法人契約の条件

項目公式FAQで確認できた内容
法人契約の可否確認した8社のうち4社が公式に「可」と明記。ほかは記載なし(=問い合わせ)
代表者の稼働「法人代表者本人が作業者であること」「契約者以外の従業員・協力者が代わりに作業するのは不可」と明記する会社あり。代表が複数いる法人は対象外とする会社も
提出書類履歴事項全部証明書(発行3か月以内)。登録時に提出し、審査後に追加書類を求められることがある。法人印(代表者印)を挙げる会社も
振込先法人名義の口座へ振込。「個人口座は使えない」と明記する会社あり
個人契約との併用契約は「法人」か「個人事業主」のどちらか一方。併用不可
期中の切り替え参画中の案件を途中で法人へ切り替える場合は、事前に担当者へ可否を確認。手続きに時間がかかる
単価法人だから上がるとは書いていない。単価はすべて税別表記が一般的

主要エージェントの公式FAQ・ガイド記事(2026年8〜10月更新分を含む)をもとに整理。条件は会社・案件ごとに異なります。

共通する条件は3つ

法人でエージェント案件を受けるための3条件
🧑‍💻
代表者本人が稼働
フリーランスと同じ枠。社員や外注に代わりをさせるのは不可
›
📄
履歴事項全部証明書
発行3か月以内。法務局の窓口・オンラインで取得
›
🏦
法人名義の口座
支払先は法人口座。個人口座は使えない会社が多い
この3つが揃えば、審査のうえで法人契約に進めるのが一般的な流れです
ゴウ
ゴウ
私の場合も「代表者本人が稼働すること」は条件になっていました。フリーランスと同じ枠で申し込んでいるので、当たり前と言えば当たり前です。法人口座は「必須です」と言われた記憶はないのですが、支払先を法人にするのだから実質必須だと考えて、設立直後に口座を作りました。

「法人だから単価が上がる」は期待しない

公式FAQで「法人なら単価が上がる」と書いている会社は確認できませんでした。私も、個人時代と法人になってからで単価の考え方は同じです。法人にする意味は単価ではなく、税金・社会保険・信用・お金の管理のほうにあります(個人事業主と法人の違い)。

法人で契約するときの必要書類チェックリスト

区分書類・情報ポイント
ほぼ必須履歴事項全部証明書(発行3か月以内)商号・本店・設立日・目的・役員が載る。法務局の窓口か「登記ねっと」でオンライン請求
ほぼ必須法人名義の銀行口座契約主体と振込先の名義を一致させる。開設に時間がかかるので先に動く
ほぼ必須法人番号(13桁)国税庁の法人番号公表サイトで確認。インボイスの登録番号は「T+この13桁」
ほぼ必須法人印(代表者印)/電子契約の署名注文書・注文請書・秘密保持契約などに押印。電子契約なら代表者のメールで署名
求められることがある印鑑証明書口座開設や一部の取引先で必要
求められることがある代表者の本人確認書類運転免許証・マイナンバーカードなど。本人確認・反社会的勢力チェックの一環
求められることがあるインボイスの登録番号登録していれば番号を伝える。未登録でも取引を継続する方針の会社が多い
求められることがある反社会的勢力でないことの表明・確約基本契約書の条項に含まれるのが通例
任意・参考定款の写し・決算書エージェント経由では稀。直接取引の与信で求められることがある
任意・参考経歴書(スキルシート)個人時代と同じものでよい

「ほぼ必須」は複数のエージェントの公式FAQで明記されているもの。「求められることがある」は会社・案件によって異なるものです。

書類を揃える順番

STEP1
登記完了 → 履歴事項全部証明書を取る
登記が完了すると法務局で取得できる。口座開設・エージェント・税務署への届出で何通も使うので、まとめて取っておくと楽(設立後の届出一覧)
STEP2
法人番号を確認する
登記から数日で国税庁の法人番号公表サイトに載る。通知書も郵送される
STEP3
法人口座を申し込む
ネット銀行は最短数日、審査に時間がかかることもある。設立直後に申し込む(法人口座の審査で落ちないための準備)
STEP4
インボイスの登録を判断する
登録するなら法人として新規に申請。設立した期の末日までに申請すれば期首にさかのぼって登録できる(ひとり法人のインボイス対応)
STEP5
エージェントに法人契約を申し込む
上の書類が揃った状態で担当者に伝えると、審査〜契約が一度で進む

副業時代の個人契約を法人契約に切り替えた実務

会社員のまま法人を作った人は、副業の売上をどこかの時点で法人に移します。私は設立から3か月後の2023年5月に移しました。流れは次の7ステップです。

STEP1
担当者に「法人で契約したい」と伝える
法人名・設立日・事業内容と、代表者=稼働者本人であることを説明する
STEP2
履歴事項全部証明書を提出して審査
発行3か月以内のもの。追加書類を求められたら対応する
STEP3
法人用のアカウント(契約主体)を作ってもらう
基本契約・秘密保持契約・誓約書を法人名義で巻き直す。個人契約との併用はできないので、以後は法人契約に一本化
STEP4
切替月を決める
参画中の案件を途中で切り替える場合は事前に可否を確認。締め日に合わせて月初から切り替えるのが実務上きれい
STEP5
振込先と請求名義を法人に変える
法人口座へ変更、請求書(または支払通知書)の名義・登録番号も法人に
STEP6
個人側の後処理
個人事業主だった人は廃業届と、インボイス登録していれば「事業廃止届出書」。個人の登録番号を法人がそのまま使い続けることはできないので、法人で新規に申請する
STEP7
切替月をまたぐ売上の帰属を確認
個人の最終月・法人の初月の売上をどちらに計上するか。私はここは税理士に確認しました
ゴウ
ゴウ
私のケースでは、エージェント側に法人用のアカウントを作ってもらって、そちらに契約を移してもらいました。副業時代は開業届を出していない雑所得だったので、個人側の廃業届のような手続きはなし。提出した書類の細かい内訳は記憶が曖昧なので、下のチェックリストは各社の公式案内で確認したものです。
切り替えで迷いやすい点
  • 期中の切り替えは事前確認:案件の途中で法人に変える場合、エージェント側の事務の都合で時間がかかる。更新のタイミングに合わせるのが確実
  • 月途中の切替は避ける:締め日(月末)に合わせて翌月初から法人にすると、稼働報告・請求・入金がきれいに分かれる(毎月のお金の流れ)
  • 個人の登録番号は引き継げない:インボイスの番号は事業者ごとに付くので、法人は「T+法人番号」で新規に登録する

法人で受ける場合と個人で受ける場合の違い

項目個人事業主で受けるひとり法人で受ける
源泉徴収エンジニアの準委任報酬は源泉徴収の対象として列挙されていないので、原則なし(デザイン・原稿などが混じる契約は要注意)法人への支払いは原則として源泉徴収なし
消費税・インボイス個人の登録番号(T+13桁)法人で新規登録(T+法人番号)。設立した期の末日までの申請で期首にさかのぼれる
社会保険国民健康保険+国民年金法人は事業主1人でも強制適用。役員報酬に対して健康保険・厚生年金(ひとり社長の社会保険料)
契約書本人名義の業務委託基本契約+個別契約法人名義。「代表者本人が稼働する」「第三者に再委託しない」条項が入るのが通例
損害賠償本人が責任を負う原則は法人の責任(合同会社の社員は有限責任)。ただし契約で代表者の連帯保証を求められる場合があるので契約書を確認(SES契約書のチェック10項目)
フリーランス法の保護特定受託事業者として対象代表者以外に役員がおらず従業員もいなければ、同じく特定受託事業者として対象
単価案件の単価同じ。法人だから上がるわけではない

出典:国税庁 タックスアンサー No.2792、国税庁 インボイス制度Q&A(新設法人の登録)、日本年金機構「適用事業所と被保険者」、公正取引委員会 フリーランス法Q&A

源泉徴収は「法人だから引かれない」ではない

「法人にすると源泉徴収されなくなる」と言われることがありますが、正確にはエンジニアの準委任(プログラミング・システム開発)の報酬は、個人への支払いでも源泉徴収の対象として列挙されていないので、個人のときから原則引かれていません。源泉徴収の対象になるのは原稿料・講演料・デザイン料・士業の報酬などに限られます。デザインや執筆が混じる契約を結ぶときは、個人・法人を問わず税理士に確認してください。

社会保険はここが一番変わる

個人事業主なら国民健康保険と国民年金ですが、法人は代表者1人でも健康保険・厚生年金の強制適用です。役員報酬の額で保険料が決まり、会社負担分も自分の会社から出ます。独立後の手取りを比べるときは、この差を必ず入れてください(役員報酬はいくらにする?)。

従業員のいない法人も「フリーランス」として守られる

2024年11月に施行されたフリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)は、個人だけでなく、代表者以外に役員がおらず、従業員を使っていない法人も「特定受託事業者」として保護の対象にしています。一人社長の合同会社は、まさにこの条件に当たります。

🛡️ 発注側に課される主な義務
取引条件(業務内容・報酬・支払期日など)の書面・メールでの明示
成果物の受領日から60日以内の支払い
1か月以上の委託では、受領拒否・減額・買いたたき・不当なやり直しなどの禁止
6か月以上の委託では、30日前の解除予告と理由の開示
🗓️ 2026年の変更点
2026年1月1日以降の委託では、事前に合意していても振込手数料を報酬から差し引くと「減額」に該当
同日に取適法(旧下請法)も施行。両方が適用される発注では、書面を1つにまとめて明示できる
発注者が自分で使うシステム開発の委託は、取適法では対象外でもフリーランス法では対象

エージェント経由の案件で「誰が発注者(業務委託事業者)か」は、契約の相手がエージェントなら通常はエージェントと考えられますが、公正取引委員会のQ&Aでは、委託内容への関与や報酬の決め方、責任の主体などから総合的に判断するとされています。契約書の当事者を確認しておきましょう。

妻(家族)を雇っている場合
  • 同居の親族だけを使っている場合は、フリーランス法上の「従業員を使用」には当たらない(公取委Q&A)
  • ただし家族を役員にしていると「代表者以外の役員」がいることになり、特定受託事業者から外れる
  • 私は妻を従業員として雇っているので、特定受託事業者のまま(家族は役員にする?従業員にする?)

出典:公正取引委員会「フリーランス法Q&A」、同「2026年のフリーランス法・取適法」特設ページ

よくある質問

Q. 法人契約と個人契約を併用できますか?
A. 公式FAQで「どちらか一方」と明記している会社があります。副業の売上を法人に移すなら、エージェントとの契約も法人に一本化するのが基本です。
Q. 法人口座がまだできていません。先に契約だけ進められますか?
A. 登録・審査は進められる会社もありますが、報酬の振込先は法人名義の口座が前提です。口座開設には時間がかかることがあるので、設立登記が終わったらすぐに申し込んでください。
Q. 自分以外のメンバーに案件を担当させてもいいですか?
A. 代表者本人が稼働することが条件で、契約者以外が代わりに作業するのは不可とする会社が一般的です。複数人で受けたい場合は、フリーランス向けではなく企業向けの窓口に相談する形になります。
Q. インボイスに登録していなくても契約できますか?
A. 登録の有無を問わず取引を続ける方針の会社が多いです。ただし発注側の控除に影響するので、単価や条件に反映される可能性はあります。登録するかどうかは売上規模と2割特例・簡易課税の期限を見て判断してください。
Q. 法人にすると単価は上がりますか?
A. 公式に「上がる」と書いている会社は確認できませんでした。私も単価の考え方は個人のときと同じです。法人のメリットは単価ではなく、税金・社会保険・信用の面で考えるのが現実的です。

まとめ

一人社長の法人でも、エージェント経由の案件は受けられます。必要なのは代表者本人が稼働すること・履歴事項全部証明書・法人名義の口座の3つ。副業時代の個人契約は、法人用のアカウント(契約主体)を作ってもらい、締め日に合わせて切り替えるだけです。法人にしても単価は変わりませんが、社会保険・インボイス・契約の責任の持ち方が変わるので、そこを押さえて独立に臨んでください。

📝 この記事のまとめ
  • 主要エージェントの公式FAQでは、法人契約「可」を明記する会社と、問い合わせが必要な会社がある。「不可」と書いている会社は確認できなかった
  • 共通条件は3つ:代表者本人の稼働・履歴事項全部証明書(3か月以内)・法人名義口座
  • 切り替えは契約主体の巻き直し。個人契約との併用は不可、期中切替は事前確認、月初切替がきれい
  • インボイスの登録番号は法人で新規取得(個人の番号は引き継げない)
  • エンジニアの準委任報酬は個人でも原則源泉徴収なし。法人で一番変わるのは社会保険
  • 代表者以外に役員も従業員もいない法人は、フリーランス法の「特定受託事業者」として保護される。2026年からは振込手数料の差し引きも「減額」に該当
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副業から合同会社を設立して4年目のひとり社長/エンジニア
本業を持ちながら副業(口コミサイトと受託開発)を12年育て、本業と並行して合同会社を設立。その後、法人に一本化しました。いまはSESを本業に、自社Webサービスと口コミサイトを運営しています。立ち上げ前に自分が不安だったこと・迷ったことを、実際にどうだったかと一緒に書いています。
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