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役員報酬ゼロ・最低等級のマイクロ法人は大丈夫?|2026年の厚労省通達(3/18・9/14)の線引きと、私が月15万円→60万円にした理由

役員報酬ゼロ・最低等級のマイクロ法人は大丈夫?
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📢 本記事は、ひとり合同会社の代表社員・ゴウが、厚生労働省の通知(令和8年3月18日・9月14日)と社会保障審議会の公表資料、日本年金機構・協会けんぽの公式情報をもとに書いています。内容は2026年11月時点のものです。被保険者資格の判断は個別の実態で決まるので、迷う場合は年金事務所・税理士・社会保険労務士に確認してください。一部にアフィリエイト広告(PR)を含みます。

2026年、「社会保険料の削減」をうたうサービスで法人の役員になっていた人、1万人以上が健康保険・厚生年金の資格を失ったという報道が流れました。これを見て、「自分のマイクロ法人も危ないのでは?」「役員報酬を最低等級にしているけど大丈夫?」と不安になった一人社長は多いと思います。

結論を先に言うと、厚労省の通達が線を引いたのは「会費を払って他人の法人の役員になり、実態のないまま社保に入る」型です。自分の法人で自分の事業を営み、その対価として役員報酬を毎月受け取っている一人社長は、通達が例示した「該当しない例」には当たりません。ただし、「役員報酬ゼロ」は通達以前から社保に入れないし、実態と釣り合わない最低報酬は調査の対象になり得ます。この記事では、通達の原文に書かれた判断基準、報酬ゼロ・最低等級の数字とデメリット、そして私が月15万円→60万円にした理由を整理します。

ゴウ
ゴウ
私は会社員のまま合同会社を作って、役員報酬は最初から月15万円にしました。最低等級(月6万円台)にもゼロにもしていません。退職後は税理士の試算表を見て月60万円に。この記事の後半で、なぜそうしたかを書きます。

2026年に何が起きたか

通知 → 調査 → 資格喪失 → 改正の流れ
📜
3月18日 通知
厚労省が「法人の役員である個人事業主等」の被保険者資格の取扱いを明確化
›
🔍
事業所調査
社会保険料削減ビジネスが疑われる45事業所を調査
›
📉
8月31日時点
38事業所で全員分の資格喪失届、11,610人が資格喪失
›
📝
9月14日 一部改正
判断基準を補強。同日に「短時間の正規型労働者」型の通知も
出典:厚生労働省 第85回社会保障審議会年金事業管理部会 資料4「事業所調査の状況(報告)」(2026年9月14日)

出典:厚労省 保保発0318第1号・年管管発0318第1号(2026年3月18日)、同 保保発0914第1号・年管管発0914第1号(2026年9月14日 一部改正)、年金事業管理部会 資料4

通達が「該当しない」としたのは誰か

通達は、法人の役員の被保険者資格を2つの基準で判断するとしています。これは一人社長を含むすべての役員に当てはまる一般原則です。

① 業務の基準
その業務が、法人の経営に対する参画を内容とする経常的な労務の提供であるか
着眼点:指揮命令権のある職員の有無/決裁権のある所管業務の有無/役員間の取りまとめや代表者への報告/会議への出席頻度・出勤頻度
② 報酬の基準
その報酬が、業務の対価として法人から経常的に支払われるものであるか
役員会への出席手当・実費弁償・退職手当は「報酬」に当たらない

「原則として経営参画に当たらない」とされた例

区分通達の例示追加された時期
業務知識向上のためのアンケート回答や勉強会参加など、単なる自己研さん3月18日
業務単なる活動報告・情報共有など、指揮監督や権限行使に当たらないもの3月18日
業務事業紹介等への単なる協力・お願いにとどまり、労務提供の義務を負わないもの3月18日
業務役員相互間の研さん、業務の互助的な紹介など、個人事業主である役員どうしの相互互助的な連携9月14日
報酬個人事業主等が法人へ役員報酬を上回る会費等を支払っている場合、その報酬は原則として業務の対価と認められない3月18日
報酬会費等が報酬と同額以下でも、会費等が報酬の多くを占めることが常態化している場合などは、労働時間・業務内容等を総合的に勘案して個別判断9月14日
報酬関連法人に会費等を払わせていて実質的に同一法人とみなされる場合も同じ扱い9月14日に明確化

「会費等」は名称を問わず、勉強費・広告費・掲載料・参加料・コンサルタント料・協力金・委託費などが例示されています。実態がないと確認された場合は資格喪失届を提出させ、資格を喪失させるとされています。

通達が想定している型と、自分の事業を営む一人社長

⚠️ 通達が想定する型
他人が運営する法人の「役員」として届け出る
その法人に会費・広告費・コンサル料などを払う
業務は勉強会・活動報告・互助的な紹介など
自分の本業は個人事業のまま
実態がなければ資格喪失
🏢 自分の法人で事業を営む一人社長
自分の法人に自分の事業の売上がある
契約・納品・請求・経理など業務の実態を説明できる
役員報酬は自分の労務の対価として毎月定額
法人に会費等を払っていない
通達の例示には当たらない

ただし、①②の一般基準はすべての役員に適用されます。売上がほとんどない法人で、業務の実態がないのに社保目的で報酬を払っている場合は、①の「経常的な労務の提供」があるかが問われ得ます。「対象外だから安心」ではなく「実態を説明できるか」が基準です。

役員報酬ゼロは「禁止された」のではなく「入れない」

「役員報酬ゼロのマイクロ法人が規制された」という言い方を見かけますが、正確ではありません。法人の代表者が被保険者になるのは「法人から労務の対償として報酬を受けている者」というのが昭和24年の通知(保発第74号)以来の原則で、報酬を受けていない代表者は最初から被保険者になれません。2026年の通達はこの原則を改めて明文化したもので、新しくゼロを禁止したわけではないのです。

役員報酬社会保険の扱い注意点
ゼロ(恒常的)健康保険・厚生年金の被保険者になれない。国保+国民年金か、配偶者の被扶養者になる法人の事業所自体は強制適用事業所なので、新規適用届は必要(設立後の届出一覧)
一時的にゼロ(療養など)使用関係が続いていれば資格は継続するとした社会保険審査会の裁決がある「ずっとゼロ」とは別の話
低額(最低等級)加入できる。年金機構は「加入の最低額は定めない」が、低額の場合は報酬の決定経過と業務内容を見て総合判断業務実態と釣り合わない報酬は調査対象になり得る
ゼロ → 期中に支給開始社保は支給開始から加入。税務上は定期同額給与にならない(改定は期首から3か月以内が原則)増額部分が損金不算入になるおそれ(役員報酬を変えるとき)

出典:日本年金機構 疑義照会回答(厚生年金保険 適用)、同「法人化した事業主の加入義務」

報酬ゼロのときの選択肢
  • 国民健康保険+国民年金:住所地の市区町村で手続き。国保は前年所得で決まるので、個人事業の所得が大きいと高くなる
  • 配偶者の被扶養者:配偶者が会社員なら、自分の年収130万円未満(60歳以上などは180万円未満)かつ配偶者の収入の半分未満で第3号被保険者に。個人事業の収入や配当がある場合の判定は保険者に確認
  • 退職直後なら任意継続:前職の健康保険を最長2年。保険料は全額自己負担(退職時の社会保険の切り替え)

最低等級の保険料はいくらか(令和8年度・東京)

等級の当て方

制度最低等級標準報酬月額報酬月額の範囲
健康保険第1級58,000円63,000円未満
厚生年金第1級88,000円93,000円未満

役員報酬を月6万円にすれば健保1級・厚年1級。月8万円だと健保は4級(88,000円)、厚年は1級のまま。

月額(本人・会社)

項目料率全額本人負担会社負担
健康保険(東京)9.85%5,713円2,857円2,857円
子ども・子育て支援金0.23%133円67円67円
介護保険(40〜64歳のみ)1.62%940円470円470円
厚生年金18.3%16,104円8,052円8,052円
合計(40歳未満)—約21,950円/月約10,975円約10,975円
合計(40〜64歳)—約22,890円/月約11,445円約11,445円

協会けんぽ東京支部 令和8年度の料率と保険料額表で計算。端数処理は概算。出典:協会けんぽ「令和8年度 都道府県単位保険料率」

約26.3万円
最低等級の社保・年額(40歳未満)
本人+会社の全額。一人社長は実質的に両方を自分で払う
17,920円
国民年金・月額(令和8年度)
最低等級の社保は「国民年金+約4,000円」で健保と厚年の両方に入れる計算
0円
被扶養者を入れたときの健保料の増加
国保は人数分かかるが、健保は扶養で保険料が増えない

「マイクロ法人で社保」の数字上の仕組みはこれです。最低等級なら、国民年金とほぼ同じ金額で健康保険と厚生年金の両方に入れ、国保の所得割が消える。所得が高く国保が月数万円になる人ほど差が大きくなります。ただし法人側には均等割7万円・税理士費用・決算の手間という固定費があるので、差し引きで考える必要があります(赤字でも払う均等割、ひとり合同会社の年間維持費)。個人事業と法人を併用する「二刀流」の考え方は別記事にまとめています。

最低等級のデメリットを数字で見る

給付・場面仕組み健保1級・厚年1級の目安
傷病手当金・出産手当金標準報酬月額の平均 ÷ 30 × 2/3(日額)58,000円 ÷ 30 × 2/3 = 約1,290円/日(月約3.9万円)。働けない期間の生活費としては心細い
老齢厚生年金(報酬比例部分)平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 加入月数88,000円で1年加入すると年約5,800円の上乗せ。10年で年約5.8万円
住宅ローン・賃貸の審査金融機関は源泉徴収票・確定申告書の年収を見る年収70万円前後では審査の年収に乗らない
失業給付役員は雇用保険の対象外最低等級に限らず役員全般(法人を作って退職すると失業保険は?)

給付額は概算。支給額の改定・端数処理で前後します。老齢基礎年金の部分は国民年金と同じなので、厚年1級の「上乗せ」は小さいという見方になります。

私が月15万円 → 60万円にした理由

ゴウ
ゴウ
会社員のまま法人を作ったとき、役員報酬を月15万円にしました。ゼロや最低等級にしなかった一番の理由は、最低限の報酬は確保したかったから。会社から自分に毎月お金が動く形にしておきたかったんです。もうひとつ、住宅ローンの審査では1か所からの給与しか評価されないので、本業の給与を主にしつつ、法人側は無理のない額にしておく、という考えもあった気がします。
ゴウ
ゴウ
退職して法人が本業になってからは月60万円。これは自分で決めたというより、税理士に法人税・所得税・住民税・社会保険料を含めた試算表を出してもらって決めました。期中の増減はせず、利益が出た年の上乗せは期末の剰余金の配当にしています(役員報酬の決め方、ゼロ・低額・中額の試算例)。

最低等級が悪いわけではありません。私の場合は「毎月の報酬があること」「審査で見てもらえる年収」「病気のときの給付」を優先順位の上に置いた、というだけです。会社員時代の15万円は、本業の会社と自分の法人の2か所で社保に入る「二以上事業所勤務」の手続きをしました(二以上事業所勤務届)。

自分の法人をチェックする5項目

STEP1
自分の法人に、自分が営む事業の売上があるか
エージェント経由の案件・受託など、法人名義の契約と入金がある。これが「経営参画を内容とする経常的な労務の提供」の土台
STEP2
報酬は労務の対価として毎月定額で払っているか
期首から3か月以内に決め、総社員の同意書などの書面を残す。期中にゼロから支給開始すると定期同額給与にならない
STEP3
他人の法人に会費・広告費・コンサル料などを払って役員になっていないか
名称を問わず、報酬と引き換えに法人へ払っているお金があれば通達の想定する型に近づく
STEP4
業務の実態を説明できるか
契約書・請求書・納品物・経理の記録。年金事務所の調査で「決定経過と業務内容」を聞かれたときに答えられる状態に
STEP5
報酬ゼロなら国保・国民年金または被扶養者の手続きをしているか
法人の新規適用届とは別に、自分の医療保険・年金の手続きが必要

よくある質問

Q. 自分の合同会社で役員報酬を月6万円にしています。通達で資格を失いますか?
A. 通達が例示したのは「会費を払って他人の法人の役員になる」型で、自分の法人で事業を営み、その対価として毎月報酬を受けている場合は例示に当たりません。ただし年金機構は「低額の場合は報酬の決定経過と業務内容を見て総合判断」としているので、業務実態と報酬の説明ができるようにしておいてください。
Q. 役員報酬ゼロで会社を作りました。社保はどうなりますか?
A. 報酬がない代表者は健康保険・厚生年金の被保険者になれないので、国民健康保険+国民年金か、配偶者の被扶養者になります。法人の事業所としての新規適用届は別に必要です。
Q. 最低等級と国保、どちらが安いですか?
A. 国保は住所地と前年所得で決まるので一律には言えません。最低等級の社保は本人+会社で年約26〜27万円(令和8年度・東京)。国保+国民年金がこれを大きく超える所得なら数字上は社保が安くなりますが、法人の均等割7万円・税理士費用・決算の手間を差し引いて比べてください。
Q. 途中で報酬を上げたくなったら?
A. 原則は事業年度の開始から3か月以内の改定です。期中の増額は、職務内容の重大な変更などの事由がなければ増額分が損金になりません。社保の等級は報酬の変更に合わせて月額変更届で変わります。
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まとめ

2026年の通達は、自分の法人で自分の事業を営む一人社長を狙ったものではありません。線が引かれたのは「会費を払って他人の法人の役員になる」型です。一方で、役員報酬ゼロは通達以前から社保に入れず、最低等級も「業務実態と報酬の説明ができるか」が問われます。私は最低限の報酬を確保したかったので月15万円から始め、独立後は税理士の試算で60万円にしました。報酬の額は節税だけでなく、給付・審査・毎月の生活まで含めて決めるものだと思っています。

📝 この記事のまとめ
  • 2026年3/18通知→事業所調査→8/31時点で38社・11,610人が資格喪失→9/14一部改正(厚労省 年金事業管理部会 資料4)
  • 判断基準は2つ:①経営参画を内容とする経常的な労務の提供か ②報酬がその対価として経常的に支払われているか
  • 「該当しない例」は会費等を払って他人の法人の役員になる型。自分の事業を営む一人社長は例示に当たらないが、一般基準は常に適用
  • 役員報酬ゼロは昭和24年の通知以来「被保険者になれない」。新たに禁止されたわけではない
  • 最低等級(健保58,000円・厚年88,000円)の社保は本人+会社で月約21,950円(40歳未満・東京)。国民年金17,920円+約4,000円
  • デメリットは傷病手当金 約1,290円/日、厚生年金の上乗せ 年約5,800円/加入1年、住宅ローン審査、雇用保険なし
  • 私は会社員時代15万円(最低限の報酬を確保・住宅ローン審査)、退職後60万円(税理士の試算表)
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副業から合同会社を設立して4年目のひとり社長/エンジニア
本業を持ちながら副業(口コミサイトと受託開発)を12年育て、本業と並行して合同会社を設立。その後、法人に一本化しました。いまはSESを本業に、自社Webサービスと口コミサイトを運営しています。立ち上げ前に自分が不安だったこと・迷ったことを、実際にどうだったかと一緒に書いています。
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