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役員報酬ゼロ・低額・中額の試算例|社会保険料は最低等級で下げ止まる、会社員兼業と専業ひとり社長で数字はどう変わるか【2026年度】

役員報酬ゼロ・低額・中額 数字で試算してみた
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📢 本記事は、合同会社を設立して4年目のゴウが、自分の経験と国税庁・日本年金機構・協会けんぽの公開情報をもとに書いています。料率・控除額は2026年9月時点(協会けんぽ東京支部の2026年度料率)で、試算はあくまで「例」です。実際の金額は必ず税理士に試算を依頼してください。 一部にアフィリエイト広告(PR)を含みます。

役員報酬を「ゼロ」にするか「低額」にするか「それなりの額」にするか。ひとり法人で毎年いちばん悩む決めごとです。別記事「役員報酬はいくらにする?ゼロ・低額・高額の3パターン」では考え方を書いたので、この記事では具体的な数字の例を出して、社会保険料・法人税・所得税がどう動くかを見ていきます。

ゴウ
ゴウ
私は「なるべく個人に移す派」ですが、節税の効率を一番に見ています。ただし一人では決めません。毎年、期首の前に税理士に「ゼロ・低額・中額」で試算してもらってから決めています。数字を並べてもらうと、感覚で決めるより明らかに判断が早くなります。

前提:役員報酬で動く4つの数字

🏥
社会保険料
報酬額で等級が決まる
🏢
法人税等
報酬は損金。残った利益に約21〜23%
👤
所得税・住民税
給与所得控除74万円〜
💰
手取り合計
会社と個人の合計で見る

役員報酬を上げると、会社の利益が減って法人税は下がりますが、社会保険料(会社負担+本人負担)と所得税・住民税は上がります。逆に下げると、社会保険料と個人の税金は下がりますが、会社に利益が残って法人税がかかり、お金は会社に留まります。「会社と個人を合わせた手取り」で比べるのが試算の基本です。

2026年度の料率・控除額(試算に使う数字)

項目数値(2026年9月時点)備考
健康保険料率(協会けんぽ東京)9.85%(40〜64歳は介護1.62%上乗せ)2026年3月分から。会社と本人で折半
子ども・子育て支援金率0.23%2026年度。健康保険料と一緒に徴収
厚生年金保険料率18.3%固定。会社と本人で折半
標準報酬月額の最低等級健康保険 58,000円/厚生年金 88,000円報酬が低くてもこの等級分の保険料はかかる
給与所得控除の最低額74万円2026・2027年分(恒久分69万円+特例5万円。2025年分は65万円)
所得税がかからない給与収入の目安年178万円まで基礎控除104万円+給与所得控除74万円(2026・2027年分。令和8年度改正)
法人税率(中小法人)所得800万円以下 15%/超 23.2%住民税・事業税を含む実効税率は約21〜23%(800万円以下)
法人住民税の均等割年7万円赤字でもかかる(資本金1,000万円以下・従業員50人以下)

※協会けんぽ東京支部・日本年金機構・国税庁の公開情報をもとに作成。都道府県で健康保険料率は異なります。

試算例①:社会保険料は「最低等級」で下げ止まる

役員報酬を月4.5万円にしても月8万円にしても、社会保険料はほとんど変わりません。健康保険の最低等級が58,000円、厚生年金の最低等級が88,000円だからです。会社負担と本人負担を合計した月額の目安は次のとおりです(40歳未満・東京・介護保険なし)。

役員報酬(月)健康保険+支援金厚生年金社保合計(会社+本人)年額
0円——0円(加入対象外)0円
4.5万円約5,800円(等級58,000円)約16,100円(等級88,000円)約2.2万円約26万円
8万円約7,900円(等級78,000円)約16,100円(等級88,000円)約2.4万円約29万円
20万円約20,200円約36,600円約5.7万円約68万円
30万円約30,200円約54,900円約8.5万円約102万円

※2026年度の協会けんぽ東京支部の料率で概算。端数処理・介護保険・賞与は考慮していません。実際の等級は日本年金機構の保険料額表で確認してください。

✅ ここから分かること
  • 報酬ゼロなら社会保険の加入対象外。会社員の兼業で本業の社保があるなら、副業法人側の保険料はゼロにできる
  • 報酬を「1円でも」出すと加入対象になり、月4.5万円でも8万円でも年26〜29万円の社保がかかる(会社+本人)
  • 報酬を最低等級付近にする意味は「社保を最小にしつつ、会社から個人に少しだけお金を移す」こと。給与所得控除(2026年分は最低74万円)の範囲内なら個人の税金はほぼゼロ
  • 報酬20万円を超えたあたりから社保が年70万円近くになり、手取りの伸びが鈍る

試算例②:会社員兼業なら「ゼロ」と「低額」の差

本業で社会保険に入っている会社員が副業法人を持つ場合、役員報酬を出すと二以上事業所勤務の手続きが必要になり、按分された保険料の通知が本業の会社にも届きます。ゼロなら手続き自体が不要です。数字で見ると次のようになります(法人の利益が年300万円の例)。

役員報酬ゼロ役員報酬 月5万円(年60万円)
法人の課税所得300万円300万−60万−社保会社負担約13万 ≒ 227万円
法人税等(実効約22%+均等割7万)約73万円約57万円
社会保険料(会社+本人)0円約26万円
個人の所得税・住民税(役員報酬分)0円本業の給与と合算されるため増える(給与所得控除は合計で1回)
二以上事業所勤務届不要必要(10日以内)
会社に残るお金(概算)約227万円約170万円+個人に約47万円(本人社保控除後)

※あくまで例。兼業の場合、役員報酬は本業の給与と合算して課税されるので「給与所得控除がもう1回使える」わけではありません。

⚠️ 兼業で低額報酬にするときの注意
  • 役員報酬は本業の給与と合算して所得税・住民税が計算される。控除は増えない
  • 社会保険は二以上事業所勤務届で按分され、按分結果の通知が本業の会社にも届く
  • 本業の会社の給与担当が「別の事業所からの報酬がある」ことを知る経路になる(詳しくは会社員のまま合同会社を作ると会社にバレる?)
  • 「会社の利益を個人に移したい」だけなら、兼業のうちは報酬ゼロにして、共済や退職金で移す設計も選択肢

試算例③:専業ひとり社長なら「低額」と「中額」の差

本業を辞めてひとり法人だけになると、社会保険は自分の法人で入るしかないので「ゼロ」は現実的ではありません(国民健康保険・国民年金に切り替える手もありますが、保険料と将来の年金額を比べて判断)。ここでは法人の利益(役員報酬を払う前)が年600万円の例で、報酬8万円と30万円を比べます。

役員報酬 月8万円(年96万円)役員報酬 月30万円(年360万円)
社会保険料(会社+本人)約29万円約102万円
法人の課税所得600−96−会社負担約15万 ≒ 489万円600−360−会社負担約51万 ≒ 189万円
法人税等(実効約22%+均等割)約115万円約49万円
個人の所得税・住民税ほぼ0円(給与収入96万円)約20万円(社保控除後)
個人の手取り(報酬−本人社保−税)約82万円約290万円
会社に残るお金約374万円約140万円
会社+個人の合計約456万円約430万円

※概算の例。合計では低額報酬が有利に見えますが、会社に残ったお金は個人の自由には使えず、将来取り出すときに退職金や配当として課税されます。

📉 低額報酬(最低等級付近)
✅ 社保が最小、個人の税金ほぼゼロ
✅ 会社にお金が残り、共済・退職金・投資に回せる
⚠️ 個人の生活費が足りなければ意味がない
⚠️ 将来の厚生年金額が少ない
👉 生活費に余裕がある人、会社に貯めたい人
📈 中額報酬(20〜30万円)
✅ 個人にお金が移り、生活費・NISA・iDeCoに回せる
✅ 厚生年金・傷病手当金など保障が厚くなる
⚠️ 社保が年100万円前後になる
👉 生活費を会社から出したい人、保障を重視する人

試算のときに必ず入れる項目

✅ 税理士に頼むときのチェックリスト
  • 3パターン以上(ゼロ/最低等級/中額)で、社保・法人税等・所得税住民税・手取り合計を並べてもらう
  • 社会保険料の会社負担を法人の損金に入れて計算してもらう(忘れると法人税が過大に出る)
  • 均等割7万円と、利益800万円超で税率が上がる点
  • 小規模企業共済・経営セーフティ共済・iDeCoの掛金をどこから出すか(個人か会社か)
  • 期首3か月以内に決める(定期同額給与のルール)。期中に変えると損金にならない
  • 兼業なら本業の給与と合算した個人の税額と、二以上事業所勤務の要否

決めるタイミングと手続きは「役員報酬はいくらにする?」の「期首3か月ルール」の項を参照してください。

ゴウ
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数字を見ると「低額のほうが合計は多い」となりがちですが、会社に残したお金は自分の財布ではありません。生活費として毎月いくら必要かを先に決めてから、残りを会社に置く、が私の順番です。
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まとめ

📝 この記事のまとめ
  • 社会保険料は最低等級(健保58,000円・厚年88,000円)で下げ止まる。月4.5万円でも8万円でも年26〜29万円
  • 報酬ゼロなら社保の加入対象外。会社員兼業なら副業法人側の社保はゼロにでき、二以上事業所勤務届も不要
  • 兼業で低額報酬にしても、給与所得控除は本業と合算で1回。控除が増えるわけではない
  • 専業なら「低額で会社に残す」か「中額で個人に移す」か。合計だけでなく生活費と保障で決める
  • 期首3か月以内に、税理士に3パターン以上の試算を頼んでから決める
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ひとり社長の制度の小ネタや、副業から法人化までの気づきを毎日投稿しています。

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副業から合同会社を設立して4年目のひとり社長/エンジニア
本業を持ちながら副業(口コミサイトと受託開発)を12年育て、本業と並行して合同会社を設立。その後、法人に一本化しました。いまはSESを本業に、自社Webサービスと口コミサイトを運営しています。立ち上げ前に自分が不安だったこと・迷ったことを、実際にどうだったかと一緒に書いています。
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