2026年10月〜2027年に変わるひとり社長のお金の制度まとめ|iDeCo上限6.2万円・インボイス経過措置70%・こどもNISA・社会保険の適用拡大
2026年の秋から2027年にかけて、ひとり社長のお金に関わる制度がまとめて変わります。iDeCoの掛金上限(2026年12月)、インボイスの経過措置(2026年10月)、こどもNISA(2027年1月)、社会保険の適用拡大(2027年10月)などです。この記事では、「いつ・何が・ひとり法人にどう関係するか」を時系列で一覧にして、それぞれの対応をまとめます。

時系列で見る:2026年10月〜2027年10月
| 時期 | 制度 | 変わること | ひとり法人への影響 |
|---|---|---|---|
| 2026年10月 | インボイス経過措置 | 免税事業者からの仕入れの控除割合が80%→70% | 免税のままだと取引先の負担が増える。登録の判断を迫られやすい |
| 2026年9月30日を含む課税期間で終了 | インボイス 2割特例 | 納税額を売上消費税の2割にできる特例が終わる | 9月決算は2026年10月からの期、3月決算は2027年4月からの期で簡易課税か原則課税に |
| 2026年12月1日 | iDeCo 掛金上限 | 会社員(企業年金なし)2.3万→6.2万円/自営業6.8万→7.5万円。加入は70歳未満まで | 厚生年金に入るひとり社長は第2号なので上限6.2万円に。役員報酬との兼ね合いで再設計 |
| 2026年1月〜(既に適用) | iDeCo 受取時の退職所得控除 | 一時金と退職金の重複排除が「前年以前4年」→「前年以前9年」(5年ルール→10年ルール) | iDeCoを一時金で先に受け取り、5年空けて退職金…という出口戦略が使えなくなった |
| 2027年1月(予定) | こどもNISA | 0〜17歳が対象。年間60万円、非課税限度600万円、18歳で成人NISAの枠へ | 子どもがいるひとり社長は、個人のNISAに続く積立先ができる |
| 2028年分〜 | 所得税の基礎控除 | 2026・2027年分の特例(合計所得489万円以下は基礎控除104万円)が終わり、2028年分からは上乗せが合計所得132万円以下の層に縮小(令和8年度改正) | 役員報酬の「所得税がかからないライン」が変わる可能性。試算時に確認 |
| 2027年10月 | 社会保険の適用拡大 | 短時間労働者の企業規模要件が51人以上→36人以上。以後段階的に撤廃 | ひとり法人には直接影響なし。家族を短時間で雇う場合は将来の要件変更に注意 |
| 2026年10月1日(施行済み) | 「106万円の壁」の撤廃 | 短時間労働者の賃金要件(月8.8万円)が撤廃された | 配偶者の働き方に影響(週20時間以上・企業規模の要件は残る) |
※2026年9月時点の公開情報。施行日・細部は各省庁の最新の案内で確認してください。
① iDeCo:2026年12月から上限6.2万円。ひとり社長の設計が変わる
これまで、会社員兼業のひとり社長も専業のひとり社長も、厚生年金に入っていれば「第2号被保険者」で上限は月2.3万円(企業年金なし)でした。2026年12月からは月6.2万円になります。年間74.4万円が全額所得控除。役員報酬を出している人ほど効きます。
✅ 報酬30万円なら所得税・住民税で年10万円以上の差が出る計算も
⚠️ 60歳まで引き出せない
👉 役員報酬とセットで見直す
⚠️ 企業型DCがあれば合算で6.2万円が上限
👉 本業の年金制度を確認
⚠️ 導入・運営コストがかかる
👉 掛金を会社負担にしたい人は税理士に相談
- 2026年1月以降、iDeCoの一時金を先に受け取ってから退職金を受け取る場合、退職所得控除の重複排除の対象期間が「前年以前4年内」から「前年以前9年内」に延びた
- 「iDeCoを60歳で一時金、65歳で法人から退職金」のように5年空けて両方で控除をフルに使う出口戦略は、10年空けないと使えない
- ひとり法人は退職金の支給時期を自分で決められるので、出口の設計をしやすい反面、年数の計算を間違えやすい。受取の10年前には税理士と設計する
制度の詳細は「合同会社を作ってもiDeCoの上限は上がらない|2026年12月改正」で書いています。
② インボイス:2026年10月から経過措置70%・2割特例の終了
免税事業者からの仕入れについて、取引先が控除できる割合が2026年10月に80%から70%へ下がります(令和8年度改正で「50%」から「70%」に緩和。その後は2028年10月に50%、2030年10月に30%、2031年10月に廃止の予定)。免税のままの人は、取引先の負担が増えるタイミングです。また2割特例が「2026年9月30日を含む課税期間」で終わるので、登録済みの人は簡易課税の届出を確認します。詳しくは「ひとり合同会社のインボイス対応」へ。
- 免税のまま:取引先に「登録しない」ことを伝えているか。値引き要求への方針を決める
- 登録済み:自社の決算月で2割特例の最後の期を確認。翌期から簡易課税なら届出のタイミング(2割特例適用期の翌期中に出せる特例あり)
- 会計ソフトの消費税設定(免税/簡易課税・第五種/原則)を期首に切り替える
③ こどもNISA:2027年1月開始予定
2026年度の税制改正で、未成年向けの「こどもNISA」が2027年1月から始まる予定です。旧ジュニアNISAと違って非課税期間は無期限、対象は0〜17歳、年間60万円・非課税限度600万円で、18歳になると成人のNISA(生涯1,800万円)の枠に引き継がれます。12歳以降は本人のための使途で払い出しできる見込みです。
| こどもNISA(2027年〜予定) | 成人のNISA(2024年〜) | |
|---|---|---|
| 対象 | 0〜17歳 | 18歳以上 |
| 年間投資枠 | 60万円 | つみたて120万円+成長240万円 |
| 非課税限度額 | 600万円 | 1,800万円(成長枠は1,200万円まで) |
| 対象商品 | つみたて投資枠と同様の投資信託 | 投資信託・株式など |
| 非課税期間 | 無期限 | 無期限 |
| 払い出し | 12歳以降、一定の要件で可(予定) | 自由 |
※2026年9月時点の制度概要。金融機関の対応開始時期・払い出し要件の細部は今後の案内で確認してください。
ひとり社長の資産運用の順番は「ひとり社長の資産運用は個人のNISAが先」に書いたとおり、法人で投資するより個人のNISA・iDeCoが先です。子どもがいる人は、そこにこどもNISAが加わる形になります。
④ 社会保険の適用拡大と「106万円の壁」
- 厚生労働省は令和8年3月18日の通知(保保発0318第1号)で、個人事業主が会費を払って他人の法人の役員になり社保に加入する形について、役員の被保険者資格は「経営への参画の実態」と「報酬が労務の対価か」で判断すると整理し、9月14日の一部改正で会費が役員報酬を上回る場合は原則として対価性を認めないことを明確にしました
- 自分の会社で実際に事業をして、その対価として役員報酬を受けているひとり社長には直接当たりませんが、報酬ゼロ・最低等級で加入しているマイクロ法人は、通達の基準で自分の会社を見直す機会になります
- 詳しくは別記事「役員報酬ゼロ・最低等級のマイクロ法人は大丈夫?2026年の厚労省通達の線引き」で(出典:厚生労働省 報道発表 2026年9月14日)
短時間労働者の社会保険加入について、企業規模の要件が2027年10月に「51人以上」から「36人以上」に下がり、その後も段階的に緩和されて最終的には撤廃される予定です。ひとり法人に従業員はいないので直接の影響はありませんが、配偶者を短時間で雇う場合や、配偶者が他社でパートをしている場合には関係します。賃金要件(月8.8万円=いわゆる106万円)は2026年10月1日に撤廃されました(週20時間以上・企業規模の要件は残っています)。
家族に給与を出す設計は「ひとり合同会社で妻(家族)に給料を出す」で詳しく書いています。
⑤ 法人税:防衛特別法人税は、ひとり法人にはほぼ関係なし
2026年4月以降に始まる事業年度から「防衛特別法人税」(法人税額の4%)が始まっていますが、法人税額から年500万円を控除した残りにかかるため、法人税額が500万円(課税所得でおよそ2,900万円超)に満たないひとり法人には実質的に影響ありません。申告書に記載欄が増えるだけ、と考えて大丈夫です。
ひとり社長の「制度改正チェックリスト」
2026年12月からのiDeCo上限6.2万円を前提に、役員報酬をいくらにすると手取りと控除の合計が最大になるか
2割特例の最後の期を確認。簡易課税の届出を出すか、原則課税でいくか
子どもがいる人は、使っている証券会社の対応時期を確認。個人のNISA口座と同じ金融機関がスムーズ
2028年分から上乗せ分が縮小する層がある。役員報酬の「税金がかからないライン」を毎年見直す

まとめ
- 2026年10月:インボイスの経過措置が80%→70%(2028年10月〜50%、2031年10月に廃止)。2割特例は2026年9月30日を含む課税期間で終了
- 2026年12月:iDeCoの上限が会社員(企業年金なし)2.3万→6.2万円、加入は70歳未満まで。役員報酬とセットで見直す
- 2026年1月〜:iDeCo一時金と退職金の重複排除が10年ルールに。出口設計は10年前から
- 2027年1月(予定):こどもNISA。0〜17歳、年60万円・600万円、18歳で成人枠へ
- 防衛特別法人税・社会保険の適用拡大は、ひとり法人には直接の影響はほぼなし。配偶者の働き方には関係する

