エージェント経由の準委任・SES案件、毎月のお金の流れ|稼働報告・精算・支払通知書・入金・会計ソフトへの登録【ひとり法人の実務】
エージェント経由の準委任・SES案件は、毎月「稼働を報告する → 金額が確定する → 請求書(または支払通知書)→ 入金 → 会計ソフトに登録」という同じ流れを繰り返します。会社員の給与と違って、自分で報告しないと金額が決まらず、入金は1〜2か月後。この「お金の流れ」を最初に押さえておくと、独立直後の資金繰りと毎月の事務がぐっと楽になります。
この記事では、エージェント経由の案件の毎月の流れを5つのステップに分け、支払サイトの例、請求書をエージェント側が発行する「支払通知書(仕入明細書)」方式、ひとり法人での会計ソフトへの登録、フリーランス法で決まっている支払期日までを、独立後にエージェント経由の案件で働いている私の実例つきで整理します。

毎月の流れは5ステップ
①稼働を報告する(月末締め)
準委任は稼働した時間に対して報酬を払う契約なので、毎月の稼働時間の報告がすべての起点です。エージェントの勤怠システムに日々の稼働を入力する形、月末に勤務表(作業報告書)を提出する形などがあります。記録の単位(15分・30分など)と提出期限は契約や現場のルールで決まっています。
- 締め日の直後に出す。報告が遅れると金額の確定も入金も遅れる
- 休憩・打ち合わせ・移動を稼働に含めるかは現場のルールに合わせる
- 精算幅の上限を超えそうな月は早めに共有する(超過に事前承認が要る契約もある)
- 日々の作業内容はチケットや日報に残しておくと、報告書と突き合わせやすい

②精算幅で金額が確定する
報告した稼働時間を精算幅(例:140〜180時間)に当てはめて、範囲内なら月額どおり、超えた分は超過単価、足りない分は控除単価で精算します。上下割・中割の計算方法は精算幅とは?上下割・中割の計算方法にまとめました。確定した金額(税抜)に消費税を乗せたものが、その月の請求額です。
③請求書を出す? エージェントが発行する?
ここがエージェント経由ならではのポイントです。自分で請求書を作ってエージェントに送る形のほかに、エージェント側が金額を確定して「支払通知書」や「仕入明細書」を発行し、受注側はそれを確認するだけという形があります(レバテックは企業向けの案内で「作業報告書と請求書をレバテックが作成」と説明しています)。
| 形 | 自分がやること | インボイス制度での扱い |
|---|---|---|
| 自分で請求書を発行 | 会計ソフトなどで請求書を作り、登録番号・税率ごとの金額・消費税額を記載して送る | 自分の請求書が適格請求書になる |
| エージェントが支払通知書(仕入明細書)を発行 | 届いた書類の内容・自分の登録番号・金額を確認し、相違があれば連絡する | 買い手(エージェント)が作る仕入明細書は、売り手の確認を受けたものに限り適格請求書と同じ効力。「一定期間内に誤りの連絡がなければ確認済み」とする運用が認められている |
出典:国税庁「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」問86・問88(令和6年4月改訂版)、freee「仕入明細書とは」。仕入明細書の発行は法律上の義務ではなく、取引先との取り決めによります。
支払通知書方式では、「連絡しなければ確認したことになる」のが普通です。届いたら稼働時間・単価・超過や控除の計算・自分の登録番号を必ず見て、違っていたらすぐ連絡します。売り手側で書類を修正することはできないので、エージェントに直してもらう形になります。
出典:国税庁 インボイスQ&A 問86(仕入明細書等による保存と相手方への確認方法)、同 問88、freee「仕入明細書とは」

④入金:支払サイトは15日〜40日
締め日から入金日までの期間を支払サイトと言います。エージェントによって違い、公式に明記しているところもあれば、案件ごとに違うところもあります。
| エージェント | 締め・支払 | サイト | 確認 |
|---|---|---|---|
| レバテックフリーランス | 月末締め・翌月15日払い(土日祝は前営業日) | 15日 | 公式(案件により変動あり) |
| Midworks | 20日サイトが一般的(案件により異なる) | 20日 | 公式(締め日の記載なし) |
| 一般的な例 | 月末締め・翌月末払い/翌月15日/翌々月10日 | 30〜40日 | 業界の一般例 |
出典:レバテックフリーランス「支払いサイトは?」、Midworks公式「Midworksとは」(2026年10月確認)。ほかのエージェントは公式で確認できなかったため載せていません。入金の着金時刻は銀行で異なります。
独立直後は、初めての入金まで最長2か月分の生活費と会社の支払い(社会保険料・役員報酬)が先に出ていくことになります。独立前にどれくらい用意したかは独立の貯金はいくら必要?に書きました。

⑤会計ソフトに登録する(ひとり法人の場合)
法人は発生した月の売上として計上し、入金はあとから消し込みます。freeeなら月末に「売掛金」の取引を登録し、入金があったら口座の明細と突き合わせて消し込むだけです。決算をまたぐ月(9月決算なら9月分の売上が11月に入金)も、9月の売上に入れます。
| タイミング | 仕訳のイメージ | ひとり法人での実務 |
|---|---|---|
| 月末(金額確定) | 売掛金 / 売上高(+仮受消費税) | freeeで売掛金の取引を登録。税抜経理なら消費税は分けて計上 |
| 入金日 | 普通預金 / 売掛金 | 口座の明細を売掛金の取引と消し込む |
| 振込手数料が引かれて入金 | 普通預金+支払手数料 / 売掛金 | 差額を「支払手数料」で処理。契約で先方負担なら差額は出ない |
出典:freee「振込手数料が差し引かれて入金された場合の消込」、マネーフォワード「売掛金の仕訳」。法人が受け取るエンジニア報酬には所得税の源泉徴収は原則ありません(国税庁タックスアンサーNo.2792。内国法人への支払いで源泉徴収の対象になるのは馬主の賞金のみ)。

フリーランス法で決まっている「支払期日」と「条件の明示」
2024年11月1日に施行されたフリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)は、従業員を使わないひとり法人も対象です(代表者以外に役員がいないことが条件)。発注側(エージェントや直接の取引先)には次の義務があります。
- 取引条件の明示:発注したら直ちに、報酬額・支払期日・業務内容などを書面かメール・チャットで明示する(口頭だけは不可)
- 支払期日:成果物や役務を受け取った日から60日以内のできる限り短い期間。再委託の場合は元の支払期日から30日以内
- 月末締めで結果的に61〜62日目になる「2か月以内」の支払いは問題にしない運用。60日を理由にわざと遅くするのは問題
配偶者を役員にしている会社は「代表者以外に役員がいる」ので対象外になる点に注意してください。家族を役員にするか従業員にするかの違いは家族は役員にする?従業員にする?で書いています。
出典:公正取引委員会 フリーランス法特設サイト、同 Q&A(Q2・Q3・Q18・Q48・Q49)
よくある質問
まとめ
エージェント経由の準委任案件は、毎月「報告 → 確定 → 書類 → 入金 → 登録」の繰り返しです。会社員の給与との違いは、自分の報告が起点になることと入金が1〜2か月後になること。この2つを最初に押さえておけば、あとは同じ作業を毎月回すだけです。
- 起点は稼働報告。締め日の直後に正確に出す
- 金額は精算幅で確定。超えそうな月は早めに共有
- 請求書を自分で出す形と、エージェントが支払通知書(仕入明細書)を出す形がある。後者は内容と登録番号の確認が自分の仕事
- 支払サイトは15日〜40日。独立直後は最初の入金までの資金を用意
- 法人は発生月に売掛金で計上し、入金で消し込む。振込手数料は支払手数料。源泉徴収は原則なし
- フリーランス法でひとり法人も保護対象(条件の明示・60日以内の支払い)。配偶者が役員だと対象外

