9月決算のひとり合同会社の決算スケジュール|9月30日の期末から11月30日の申告、翌期の役員報酬・年末調整・中間申告まで
9月決算の会社は、10月1日に新しい期が始まるのと同時に、前の期の決算を11月30日までに仕上げることになります。しかも12月には役員報酬の改定期限と年末調整、1月には給与まわりの提出物が続きます。この記事では、9月30日の期末から翌年9月までに「いつ・何をするか」を、ひとり合同会社の目線で1本のカレンダーにまとめます。


全体像:9月決算のひとり合同会社の1年
10/1から新しい期
資料を税理士へ
住民税・事業税
改定期限
給与支払報告書
一定以上なら
| 日付 | やること | メモ |
|---|---|---|
| 2026年9月30日(水) | 前の期の期末 | 決算賞与の通知、延長特例の申請などはこの日までが期限 |
| 10月上旬〜中旬 | 期末の残高を確定し、資料を税理士へ渡す | 預金・売掛金・未払金・立替精算など |
| 10月末まで | 妻(従業員)の決算賞与を払う(期末までに通知した場合) | 期末の翌日から1か月以内に払えば前の期の損金 |
| 10月下旬〜11月下旬 | 決算書・申告書の案を確認(私は例年11月下旬に受け取ります) | 計算書類(4つ)を確定させて10年保存 |
| 11月30日(月) | 法人税・地方法人税・消費税・法人住民税・事業税の申告と納付 | 赤字でも均等割は払う |
| 12月31日(木) | 新しい期の役員報酬(定期同額給与)の改定期限 | 期首から3か月以内 |
| 12月の最後の給与 | 年末調整(代表社員と妻) | 扶養控除等申告書を回収しておく |
| 2027年1月20日(水) | 源泉所得税の納付(納期の特例・7〜12月分) | 給与の支払人員が常時10人未満の特例 |
| 2027年2月1日(月) | 法定調書合計表・給与支払報告書・償却資産申告 | 本来は1月31日だが日曜のため |
| 2027年5月31日(月) | 中間申告・納付(該当する場合) | 前期の法人税・消費税の額で判定 |
| 2027年7月12日(月) | 源泉所得税の納付(納期の特例・1〜6月分) | 本来は7月10日だが土曜のため |
| 2027年9月30日(木) | 次の期末 | 翌々期の延長特例を使うならこの日までに申請 |
1月31日が期限の3つ(法定調書・給与支払報告書・償却資産)は、2027年は1月31日が日曜日なので翌2月1日(月)になる見込みです。地方税の期限は自治体の案内で確認してください。
期末(9月30日)までに決めておくこと
決算は期末が過ぎてから始まるものと思われがちですが、期末の日が期限になっている手続きがいくつかあります。2026年9月期の分はもう過ぎているので、次の期末(2027年9月30日)に向けたメモとして読んでください。
- 従業員(妻など)への決算賞与:期末までに各人へ支給額を通知し、期末の翌日から1か月以内に払い、その期に経費として計上すれば、前の期の損金にできます。代表社員への決算賞与は、事前確定届出給与の届出をしていなければ損金になりません
- 申告期限の延長特例:法人税の延長の申請、消費税の申告期限延長届出書は、適用したい事業年度の末日までに出します(あとで詳しく説明します)
- 経営セーフティ共済の前納:1年以内の前納分は、払った期の損金にできます(詳しくは経営セーフティ共済の記事)
妻に給与を払っている場合の考え方は「ひとり合同会社で妻(家族)に給料を出す」にまとめています。
10月:期末の数字を締めて、税理士に渡す
10月は、期末時点の数字を確定させる月です。税理士に頼んでいても、帳簿のもとになる情報を揃えるのは社長の仕事です。ひとり合同会社なら、次の表のものが揃っていればほぼ足ります。
私は領収書や請求書を毎月freeeに自分で登録して、税理士に確認してもらっています。月々の登録を溜めないでおけば、10月の作業はかなり軽くなると思います。
| 揃えるもの | 中身 | ひとり法人で漏れやすい点 |
|---|---|---|
| 預金の残高 | 9月30日時点の全口座の残高(ネット銀行は明細のCSVやPDF) | 使っていないサブ口座の残高、利息 |
| 売掛金 | 9月分の売上で、まだ入金されていないもの | SES・受託は月末締め翌月払いが多く、9月分が丸ごと売掛金になる |
| 未払金・未払費用 | 9月までに使ったのに10月以降に払うもの | 法人カードの9月利用分、9月分の給与・社会保険料 |
| 立替精算 | 個人のお金で払った法人の経費 | 期をまたぐ前に精算しておく(法人と個人のお金の分け方) |
| 前払費用 | 10月以降の分を先に払ったもの | バーチャルオフィスやソフトの年払い |
| 固定資産 | その期に買ったパソコンなど | 30万円未満(2026年4月以降の取得は40万円未満)の特例を使うか |
| 給与・共済の資料 | 役員報酬・妻の給与の台帳、共済の掛金の証明 | 小規模企業共済は個人の所得控除なので会社の経費にはならない |
経費にしてよいものの線引きは「ひとり合同会社の経費はどこまで落ちる?」、税理士に何を任せるかは「税理士に何を頼み、何を自分でやるか」を参考にしてください。
11月30日(月):申告と納付の期限
9月決算の会社は、期末の翌日から2か月以内=11月30日が、国税と地方税の申告・納付の期限です。2026年は11月30日が月曜日なので、そのまま11月30日が期限です。
| 税目 | 申告先 | ひとり合同会社のポイント |
|---|---|---|
| 法人税・地方法人税 | 税務署 | 赤字なら0円。黒字でも繰越欠損金があれば少額になる |
| 消費税 | 税務署 | 課税事業者なら申告。原則課税か簡易課税かで計算が変わる(インボイス対応) |
| 法人住民税 | 都道府県・市区町村(東京23区は都税事務所) | 赤字でも均等割(最低7万円)がかかる(均等割の記事) |
| 法人事業税・特別法人事業税 | 都道府県 | 所得に応じてかかる。赤字なら0円 |
- 申告書を出すのと同じ日までに、税金も払い終える必要があります
- 延長特例を使っても延びるのは申告だけで、納付期限は11月30日のまま。遅れた分は利子税がかかります
- 出資金が1億円以下の合同会社は電子申告の義務はありませんが、e-Tax(国税)とeLTAX(地方税)で出すと郵送の手間がありません
申告期限の延長特例は合同会社でも使える?
法人税には、定款などで「決算の確定は期末から3か月以内」といった定めがあり、2か月以内に決算が確定しない常況にある会社が申請すると、申告期限が1か月延びる特例があります。消費税も、法人税の延長を受けている会社が届出をすれば1か月延びます。
合同会社には株式会社のような定時株主総会がないため、定款に「計算書類は期末から3か月以内に社員の同意で確定する」といった定めを置いて申請する、というのが専門家の一般的な説明です。ただし国税庁の資料に合同会社についての明記はないので、使うかどうかは顧問税理士に確認してください。申請の期限は適用したい期の期末までで、法人事業税は別に都道府県への申請が必要です。
合同会社の決算は「総会」も「決算公告」も要らない
毎年の決算公告が必要
計算書類に加えて事業報告なども作る
決算公告の義務はない
計算書類(貸借対照表・損益計算書・社員資本等変動計算書・個別注記表)を作って10年保存
社員が自分1人だけなら、計算書類の内容を確認した日を「確定した日」として記録しておく形で十分です。実務では「計算書類確定書」のような1枚の書面を作って、決算書と一緒に保存しておくことが多いようです。合同会社と株式会社の違い全体は「合同会社と株式会社どっちにする?」で比べています。
12月31日まで:新しい期の役員報酬を決める
役員報酬を毎月同じ額で払って経費にする「定期同額給与」は、期首から3か月以内なら金額を変えられます。10月1日に期が始まる会社は12月31日までが期限です。決算の数字が出る11月に、新しい期の役員報酬もあわせて決めるのが自然な流れです。

- 定期同額給与の改定:期首から3か月以内(10月1日開始なら12月31日まで)。業績の大幅な悪化による減額など、期の途中でも変えられる例外もあります
- 事前確定届出給与(役員の賞与):「決議の日(職務執行の開始日のほうが遅ければその日)から1か月」と「期首から4か月」のうち早い日までに税務署へ届け出ます。合同会社は株主総会がないため、どの日を基準にするかは税理士と確認してください
- 金額の決め方は「役員報酬はいくらにする?」と「役員報酬の試算例」で詳しく解説しています
12月〜翌2月:年末調整と1月の提出物
ひとり合同会社でも、自分(代表社員)や家族に給与を払っていれば、会社として年末調整をして、1月に提出物を出します。給与の支払人員が10人未満なら、源泉所得税は「納期の特例」で年2回にまとめて払えます。
| 時期 | 手続き | 提出先・払い先 | ひとり法人のポイント |
|---|---|---|---|
| 12月の最後の給与 | 年末調整 | —(会社の中で計算) | 代表社員と妻の両方。扶養控除等申告書、保険料控除申告書などを回収 |
| 2027年1月20日(水) | 源泉所得税の納付(7〜12月分) | 税務署(金融機関・e-Tax) | 年末調整の過不足もここで精算 |
| 2027年2月1日(月) | 法定調書合計表・源泉徴収票 | 税務署 | 役員は年150万円を超える給与で源泉徴収票の提出が必要 |
| 2027年2月1日(月) | 給与支払報告書 | 従業員・役員が住む市区町村 | 役員も含めて全員分を出す |
| 2027年2月1日(月) | 償却資産申告 | 市区町村(東京23区は都税事務所) | 課税標準額が150万円未満なら課税されない。申告が必要かは自治体の案内で確認 |
2027年1月以降は、市区町村に給与支払報告書を出せば、税務署への源泉徴収票の提出があったものとみなされる仕組みに変わります(国税庁の案内)。
5月31日(月):中間申告(前の期の税額が一定以上なら)
2期目以降、利益が出て税額が増えてくると、期の途中にも税金を前払いする「中間申告」が始まります。9月決算の会社は、期首から6か月が過ぎた3月31日の翌日から2か月以内=5月31日が期限です。
| 税目 | 中間申告が必要になる目安 | 9月決算の場合 |
|---|---|---|
| 法人税 | 前の期の法人税額×6÷前の期の月数が10万円を超える | 5月31日に申告・納付 |
| 消費税 | 前の期の消費税額(国税分)が48万円を超える(48万円超〜400万円以下なら年1回) | 年1回なら5月31日 |
| 法人住民税・事業税 | 法人税で中間申告が必要な場合 | 法人税と同じく5月31日 |
前の期の税額の半分を払う「予定申告」なら、届いた予定申告の情報に従って納付するだけです。ただし前の期をe-Taxで申告した法人には、法人税の予定申告書・納付書は郵送されず、e-Taxのメッセージボックスに格納されます(2024年5月以降。消費税の中間申告書兼納付書は引き続き送付)。税理士に申告を頼んでいる会社は、税理士からの連絡が「中間納付が来た」の合図になります。3期分の決算の流れは「副業から合同会社を作って3期分の決算」で紹介しています。

2026年10月からの期で変わること
| 制度 | 内容 | 9月決算の会社への影響 |
|---|---|---|
| 防衛特別法人税 | 2026年4月1日以後に始まる期から。(基準法人税額−500万円)×4% | 2026年10月1日に始まる期(2027年9月期)が最初。税額が0円でも申告が必要で、最初の期限は2027年11月30日 |
| インボイスの経過措置 | 免税事業者などからの仕入れの控除割合が、2026年10月1日から80%→70% | 原則課税の会社は控除額が減る。簡易課税なら納める消費税の計算には影響しない |
| 2割特例(インボイス) | 法人は2026年9月30日を含む課税期間で終了 | 2026年9月期が2割特例を使える最後の申告。次の期からは原則課税か簡易課税 |
ほかの制度の変更は「2026年10月〜2027年に変わるひとり社長のお金の制度まとめ」にまとめています。

決算を任せられる税理士がまだいない人へ
9月決算で今から税理士を探す場合、11月30日までの時間はあまり長くありません。決算だけを単発で引き受ける事務所もありますが、来期の役員報酬や中間申告まで相談できる顧問契約のほうが、ひとり社長には安心です。探し方と相場は「ひとり合同会社の税理士はどう探す?」で詳しく書いています。
私は税理士ドットコムで候補を比較し、最終的には知人の紹介で契約しました。顧問料は月2万円弱で、決算と申告、役員報酬の試算までお願いしています。
まとめ
- 9月決算の会社は、期末の翌日から2か月以内の11月30日が法人税・消費税・法人住民税・事業税の申告と納付の期限(2026年は月曜日)
- 10月は期末の残高(預金・売掛金・未払金・立替精算)を揃えて税理士に渡す月
- 延長特例で延びるのは申告だけで、納付は11月30日のまま。合同会社で使うなら定款の定めと期末までの申請が必要
- 合同会社は決算承認の総会も決算公告も不要。計算書類は10年保存
- 新しい期の役員報酬は12月31日までに決める。12月に年末調整、2027年は2月1日に法定調書・給与支払報告書・償却資産申告
- 税額が増えたら5月31日に中間申告。2027年9月期からは防衛特別法人税の申告も加わる

