ひとり社長の償却資産申告|パソコン1台でも出す?1月31日の期限・免税点(150万→180万円)・書き方
会社を作ると、年明けに「償却資産申告書」という書類が届くことがあります。パソコンが1台あるだけのひとり社長でも、出さないといけないのか。迷う人は多いと思います。
結論から書くと、償却資産の申告は1月1日時点で事業用の資産を持っている人が、1月31日までに資産のある市区町村へ出すものです。課税されるのは合計が免税点(2026年度分まで150万円、2027年度分から180万円)以上の場合だけですが、免税点未満でも申告を求める自治体が多いのが実情です。この記事では、対象になる資産・ならない資産、2027年の期限(1月31日が日曜のため2月1日)、書き方、バーチャルオフィスの場合の申告先までまとめ、最後にひとり法人の1年の納付・提出カレンダーを載せます。

決算とは関係なく「1月1日時点」で判定するので、9月決算の私には少し忘れやすい手続きでした。この記事では、ひとり社長が迷いやすいところを自治体の手引で確かめて整理します。

償却資産の申告とは?固定資産税の「土地・家屋以外」の部分
固定資産税というと土地や建物を思い浮かべますが、課税の対象は「土地、家屋及び償却資産」の3つです。償却資産は、事業に使っている機械・パソコン・備品などのことで、持ち主が自分で申告し、それをもとに市区町村が課税します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 誰が出す | 毎年1月1日(賦課期日)時点で償却資産を持っている人。個人・法人を問わない |
| いつまで | その年の1月31日まで(土日祝なら翌日以降の平日。2027年は1月31日が日曜のため2月1日(月)) |
| どこへ | 資産がある市区町村。東京23区は資産のある区の都税事務所 |
| 税率 | 標準税率1.4% |
| 免税点 | 課税標準額の合計が150万円未満なら課税なし。2027年度分(2027年1月の申告分)からは180万円未満に引き上げ |
| 出し方 | 窓口・郵送のほか、eLTAX(地方税ポータルシステム)で電子申告 |
出典:総務省「固定資産税の概要」、東京都主税局「償却資産の申告」、京都市「令和8年度 固定資産税(償却資産)申告の手引」(令和8年度の期限は2026年2月2日(月))
ポイントは、判定日が決算日ではなく毎年1月1日だということです。9月決算でも3月決算でも、「1月1日に何を持っているか」で申告します。
対象になる資産・ならない資産:パソコンは?
ひとり社長が一番迷うのがここです。同じパソコンでも、会計でどう処理したかで申告の対象になるかが変わります。
| 会計上の処理 | 取得価額の目安 | 償却資産の申告 |
|---|---|---|
| 一時に損金(少額の減価償却資産) | 10万円未満(または使用期間1年未満) | 対象外 |
| 一括償却資産(3年で均等に償却) | 20万円未満 | 対象外 |
| 中小企業者等の少額減価償却資産の特例で即時償却 | 30万円未満(2026年4月1日以後の取得は40万円未満) | 対象(全額経費にしても申告は必要) |
| 通常の減価償却(耐用年数で償却) | 金額を問わない | 対象(20万円未満でも個別に償却していれば対象) |
| 自動車税・軽自動車税がかかる車 | — | 対象外(それぞれの税で課税) |
| ソフトウェアなど無形のもの | — | 対象外 |
出典:京都市「令和8年度 固定資産税(償却資産)申告の手引」、東京都主税局「償却資産の申告」、国税庁タックスアンサーNo.5408(少額減価償却資産の特例の40万円未満への引上げ)
見落としやすいのが3行目です。中小企業の少額減価償却資産の特例を使うと、30万円未満(2026年4月1日以後に取得したものは40万円未満)の資産を買った年に全額経費にできます。でも償却資産の申告では対象です。京都市の手引にも「課税対象となりますので、申告していただく必要があります」と書かれています。
逆に、20万円未満を一括償却資産(3年均等償却)で処理したものは対象外です。同じ15万円のパソコンでも、どちらで処理したかで扱いが変わります。どの処理にしたかは、決算書の固定資産台帳(減価償却の明細)を見るか、税理士に聞けばわかります。
✅ 耐用年数で減価償却しているPC・サーバー
✅ 机・椅子・複合機などの備品(個別に償却したもの)
✅ 内装工事などの資本的支出
⚠️ 20万円未満で一括償却資産にしたもの
⚠️ 自動車税・軽自動車税の対象の車
⚠️ ソフトウェア・ライセンスなど無形のもの
経費にするときの線引きはひとり法人の経費の線引きで詳しく書いています。
150万円(2027年度から180万円)未満なら申告は不要?
免税点は「課税されない」ラインで、「申告しなくてよい」ラインではありません。京都市の手引では、課税標準額が免税点未満でも申告書の提出が必要と明記されています。同じように案内している自治体は多いので、まずは資産のある市区町村の案内を確認しましょう。
パソコン1台なら、評価額はほぼ確実に免税点を下回ります。京都市の手引の例では、2025年に25万円で買った耐用年数4年のパソコンの評価額は、2026年度が195,250円、2027年度が109,730円です。課税は合計で判定するので、この1台だけなら税金はかかりません。
| 年度 | 計算 | 評価額 |
|---|---|---|
| 2026年度(取得の翌年) | 250,000円 × 0.781 | 195,250円 |
| 2027年度 | 195,250円 × 0.562 | 109,730円 |
| 最低限度 | 取得価額の5% | 12,500円を下回らない |
出典:京都市「令和8年度 固定資産税(償却資産)申告の手引」の評価例(耐用年数4年、前年中取得は半年分の減価で計算)
- 自治体から申告書が届いたのに該当する資産がない場合は「該当資産なし」として提出する(京都市の手引)
- 正当な理由なく申告しないと過料が科されることがある(京都市の手引)
- 期限後の申告や修正は、納税通知書の送付が遅れる原因になる
- 免税点の判定は市区町村ごと。資産が複数の市区町村にあれば、それぞれで判定・申告
申告先は?23区・バーチャルオフィスの場合
申告先は「資産がある場所」の市区町村です。東京23区は区役所ではなく、資産のある区の都税事務所(償却資産の担当)に出します。複数の区に資産があれば区ごとに出します。
ここで注意したいのが、本店をバーチャルオフィスにしている場合です。登記上の住所はバーチャルオフィスでも、パソコンや机が実際にあるのは自宅、というひとり社長は多いはずです。申告の基準は「資産の所在地」なので、実際に資産を置いている自宅などの市区町村が申告先になると考えられます。迷ったら、両方の自治体の資産税の窓口に確認してください。
→ 自宅のある市区町村(23区なら都税事務所)へ申告
→ 基準は「資産の所在地」。資産のある自宅側の市区町村へ
⚠️ 申告書がVO宛てに届くこともあるので郵便物の確認を
私はバーチャルオフィス(レゾナンス)を使っていて、郵便物は月に4〜5通ほどです。年明けは自治体や税務署からの書類が増える時期なので、転送の届き方も含めて気にかけておくと安心です。本店をどこに置くかの考え方は本店は自宅かバーチャルオフィスかにまとめています。
私はレゾナンスを使っています。まず「登記できるプランか」を確認し、月額と郵便転送の頻度で選んでください。比較した9社のうち、公式サイトへ直接飛べるものを下に並べています。
登記や郵便物の受け取りを低価格で使えるプランがあります(料金は各社の公式サイトで確認してください)。
償却資産申告書の書き方とeLTAXでの出し方
書き方の大枠は、どの自治体でも同じです。決算書の固定資産台帳(減価償却の明細)を手元に置いて進めます。
固定資産台帳から、1月1日時点で持っている有形の資産を拾います。少額減価償却資産の特例で即時償却したものも忘れずに。10万円未満の消耗品や一括償却資産は除きます。
資産の種類(工具・器具・備品など)、名称、取得した年月、取得価額、耐用年数を書きます。パソコンの耐用年数は4年です。
2回目以降は、前年の申告から増えた資産と、売却・廃棄で減った資産を書きます。初めての年は持っている資産をすべて書きます。
会社名・所在地・連絡先、資産の所在地、事業の種類などを書きます。該当資産がなければ「該当資産なし」として提出します。
窓口・郵送、またはeLTAXで提出します。eLTAXは初回に電子証明書の準備と利用届出が必要です。
評価額の計算は、申告した取得価額と耐用年数をもとに市区町村が行います。自分で税額まで計算する必要はありません。様式や記入例は自治体ごとに手引が出ているので、資産のある市区町村(23区は東京都主税局)のページで確認してください。
出典:京都市「令和8年度 固定資産税(償却資産)申告の手引」、東京都主税局「償却資産の申告」

私は税理士ドットコムで候補を比較し、最終的には知人の紹介で契約しました。顧問料は月2万円弱で、決算と申告、役員報酬の試算までお願いしています。
ひとり法人の1年の納付・提出カレンダー(9月決算の例)
償却資産の申告は、1月に集中する手続きの1つです。9月決算(10月1日〜9月30日)のひとり法人を例に、1年の主な納付・提出をまとめました。2026年10月〜2027年9月の期を想定しています。
| 時期 | 手続き | 補足 |
|---|---|---|
| 2026年11月30日 | 法人税・法人住民税・法人事業税・消費税の確定申告と納付(前期分) | 決算日の翌日から2か月以内。法人住民税の均等割は赤字でもかかる |
| 2026年12月 | 年末調整(役員・家族に給与を払っている場合) | 最後の給与の支払いで精算 |
| 2027年1月20日 | 源泉所得税の納付(納期の特例:7〜12月分) | 常時10人未満で特例の承認を受けている場合 |
| 2027年2月1日 | 償却資産の申告(1月1日時点の資産) | 本来は1月31日。2027年は日曜のため翌日 |
| 2027年2月1日 | 給与支払報告書(市区町村)・法定調書合計表(税務署) | 本来は1月31日。2027年1月以降は給与支払報告書を出せば源泉徴収票の税務署提出は不要に |
| 2027年5月31日 | 中間申告・納付(該当する場合のみ) | 法人税:前期の法人税額が20万円超(1年換算)/消費税:前期の消費税額(国税)が48万円超 |
| 2027年7月12日 | 源泉所得税の納付(納期の特例:1〜6月分) | 本来は7月10日。2027年は土曜のため翌々日の月曜 |
| 2027年9月30日 | 決算日 | 11月30日の申告に向けて決算準備 |
出典:国税庁タックスアンサーNo.6609(消費税の中間申告)・No.7400(法定調書)・源泉所得税の納期の特例、沖縄県「法人事業税・法人県民税の中間申告」、神戸市「給与支払報告書」、東京都主税局「償却資産の申告」。期限が土日祝の場合は翌日以降の平日。
9月決算の流れや、決算書が届いてから申告までの段取りは9月決算のスケジュールで詳しく書いています。均等割については赤字でもかかる均等割もあわせてどうぞ。

この表をカレンダーに入れておくだけで、「何か忘れていないか」という不安がかなり減ると思います。

よくある質問
まとめ
償却資産の申告は、1月1日に持っている事業用の資産を、1月31日までに資産のある市区町村へ出す手続きです。ひとり社長でも、パソコンを少額減価償却資産の特例で経費にしていれば対象になります。
- 判定は毎年1月1日、期限は1月31日(2027年は2月1日)。決算月とは関係ない
- 10万円未満の消耗品・20万円未満の一括償却資産は対象外。少額減価償却資産の特例で即時償却したものは対象
- 免税点は150万円(2027年度分から180万円)。未満でも申告を求める自治体が多い
- 申告先は資産のある市区町村。23区は都税事務所。バーチャルオフィスなら資産の実際の場所で考える
- 1月は源泉の納付・給与支払報告書・法定調書と締め切りが集中。カレンダーで管理
- 自分で出すか税理士に頼むかは、顧問契約の範囲を確認

