法人化を考える
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個人事業主と法人(合同会社)の違い|税金・社会保険・信用・手間を一覧で比較、副業から直接法人にした私の判断

個人事業主と法人の違い
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📢 本記事は、設立4年目のひとり合同会社の代表社員・ゴウが、国税庁・日本年金機構・総務省・法務省・東京都主税局などの公開情報をもとに書いています。内容は2026年10月時点のものです。税金・社会保険の個別の判断は、顧問税理士や年金事務所などの窓口に確認してください。一部にアフィリエイト広告(PR)を含みます。

結論から書きます。個人事業主と法人のいちばん大きな違いは、「事業の持ち主が自分個人か、自分とは別の人格(会社)か」です。この違いから、税金のかかり方、社会保険、取引先からの見え方、毎年の手間、やめるときの手続きまで、ほぼすべてが変わります。

この記事では、個人事業主と法人(合同会社)の違いを一覧表で比べ、税率は国税庁の表で確認した数字で並べます。後半では向き不向きのチェックと、法人成りの流れも図にしました。私は開業届を出さず、副業(雑所得)からいきなり合同会社を作ったので、その判断もあわせて書きます。

ゴウ
ゴウ
私は2011年から会社員のまま副業を続けてきました。副業の収入は雑所得として確定申告していて、個人事業の開業届は一度も出していません。2023年2月、会社員のまま合同会社を作り、5月から副業の売上を法人に入れるようにして、9月末に会社を辞めました。つまり「個人事業主」の期間がないまま、副業からいきなり法人になっています。

そもそも「個人事業主は法人」ですか?

いいえ、個人事業主は法人ではありません。個人事業主は、会社を作らずに個人として事業をしている人のことです。屋号を付けていても、事業の持ち主は個人のままです。

一方の法人は、法律で「人」として扱われる団体です。株式会社や合同会社は、登記をすることで成立し、社長とは別に、会社の名前で契約したり、口座を持ったり、税金を払ったりします。ひとりで作った会社でも、社長個人と会社は別の存在です。

👤 個人事業主
📝 事業の持ち主=自分個人
📝 もうけ=自分の所得(所得税)
📝 始め方:税務署に開業届
📝 屋号があっても「個人」
事業とお金が自分と一体
🏢 法人(合同会社など)
✅ 事業の持ち主=会社
✅ もうけ=会社の所得(法人税)
✅ 始め方:法務局で設立登記
✅ 社長は会社から役員報酬を受け取る
会社と自分は別の「人」

この「別の人」という点が、このあと出てくる違いのもとになっています。たとえば法人では、社長も会社から給料(役員報酬)をもらう立場になるので、社長個人にも給与としての税金と社会保険がかかります。

個人事業主と法人の違い一覧

まずは全体像です。ひとりで事業をする前提で、個人事業主と合同会社を比べました。

項目個人事業主法人(合同会社)
始める手続き税務署に開業届を出す定款を作り、法務局で設立登記をする
始める費用開業届の提出に手数料はかからない登録免許税が最低6万円(株式会社は最低15万円+定款認証)
もうけにかかる税金所得税(5〜45%の累進)+住民税(所得割10%)など法人税(中小法人は年800万円以下15%、超える部分23.2%)+地方法人税・法人住民税・法人事業税
赤字のとき所得税はかからない。損失は青色申告なら3年繰り越せる赤字でも法人住民税の均等割がかかる(東京23区・資本金等1,000万円以下・従業者50人以下で年7万円)。欠損金は10年繰り越せる
社会保険本人は国民健康保険+国民年金(令和8年度は月17,920円)社長ひとりでも健康保険・厚生年金の強制適用事業所。保険料は会社と本人で負担
自分への給料なし(もうけ全体が自分の所得)役員報酬として受け取る。原則、毎月同額(定期同額給与)で、改定は期首から3か月以内など
経費の考え方事業に必要な支出。家事と共用のものは按分。自分への給料は経費にならない。家族への給与は青色事業専従者給与(届出が必要)事業に必要な支出に加え、社長の役員報酬も会社の経費になる(定期同額給与などの要件あり)
信用・口座・取引個人名(屋号)で取引。取引先によっては法人のみ契約という場合もある会社名で契約・法人口座を持てる。登記簿で会社の情報を誰でも確認できる
会計・申告の手間年1回の確定申告。自分で申告する人も多い決算書の作成と法人税などの申告。給与の源泉徴収や社会保険の手続きもある。税理士に頼む人が多い
やめるとき税務署に廃業の届出を出す解散・清算の登記など、会社法の手続きが必要。費用も時間もかかる

出典:国税庁 タックスアンサーNo.2260(所得税の税率)・No.5759(法人税の税率)・No.2070(青色申告)・No.5762(欠損金の繰越控除)・No.5211(役員給与)・No.7191(登録免許税)、総務省「個人住民税」、東京都主税局「法人都民税 均等割の税率表」、日本年金機構「適用事業所と被保険者」「国民年金保険料」(2026年10月時点)。

ざっくり言うと、個人事業主は「始めるのもやめるのも軽い。ただし、もうけが増えると税率も上がる」、法人は「始めるにもやめるにもお金と手間がかかる。そのかわり、もうけが増えたときの調整がしやすい」という関係です。

私の場合、法人にしてからは、税理士に月2万円弱の顧問料を払い、3か月に1回の面談をしています。日々の領収書や請求書は、毎月自分でfreeeに登録し、税理士が確認する分担です。法人の決算は初めてだったので、税理士に言われるとおりに対応しています。

税金の違い|所得税の累進と法人税の税率を比べる

「法人のほうが税金が安い」とよく言われますが、正確には税率の決まり方が違うのです。個人の所得税は、所得が増えるほど税率が上がる累進課税です。法人税は、中小法人なら所得が年800万円までは15%、それを超える部分は23.2%と、段階が2つしかありません。

課税される所得所得税の税率(個人)法人税の税率(中小法人)
195万円未満5%15%
(年800万円以下の部分)
195万〜330万円未満10%
330万〜695万円未満20%
695万〜900万円未満23%
900万〜1,800万円未満33%23.2%
(年800万円を超える部分)
1,800万〜4,000万円未満40%
4,000万円以上45%

出典:国税庁 タックスアンサーNo.2260「所得税の税率」・No.5759「法人税の税率」(令和8年4月1日現在の法令等、2026年10月時点で確認)。所得税は超える部分にだけその税率がかかる超過累進税率。個人はこのほかに住民税の所得割(標準10%)・復興特別所得税など、法人はこのほかに地方法人税・法人住民税・法人事業税がかかります。法人税の15%は所得金額が年10億円以下の中小法人の場合(10億円超の事業年度は17%)。この15%は租税特別措置法の特例(本来は19%)で、現在は2027年3月31日までに開始する事業年度が対象です。2027年4月以後も続くかは、令和9年度税制改正で決まります(経済産業省が2年延長を要望中。財務省「令和9年度税制改正要望」)。

表だけを見ると「所得が多いほど法人が有利」に見えます。ただ、実際の比較はもう少し複雑です。法人にすると、もうけを「社長の役員報酬」と「会社に残る利益」に分けられるからです。

法人にすると、もうけの流れが2つに分かれる
💼
会社の売上
経費を引いたものがもうけ
›
👔
役員報酬
会社の経費。社長個人は給与所得(給与所得控除あり)
+
🏢
会社の利益
法人税など(年800万円まで15%)
個人事業主は、もうけ全体が「事業所得」として累進税率の対象になります

役員報酬を受け取る社長個人には、会社員と同じ給与所得控除が使えます(給与の額に応じて決まり、上限は195万円)。一方で、役員報酬には社会保険料もかかります。どこが損益の分かれ目になるかは、売上・経費・家族構成・社会保険料で変わるので、一概には言えません。試算の考え方はマイクロ法人と個人事業の二刀流の記事でも触れています。

私の役員報酬は、会社員だった間は月15万円、退職後の2期目の初めから月60万円です。金額は税理士と試算して決めました。このように、報酬と会社の利益の配分を決められるのが、個人事業主との大きな違いです。

⚠️ 法人の「赤字でもかかる」お金
  • 法人住民税の均等割は、利益がなくても毎年かかります(東京23区・資本金等1,000万円以下・従業者50人以下で年7万円。1年未満は月割)。
  • 役員報酬を払うなら、社会保険料も毎月かかります。
  • 私の1期目は7か月で小さな赤字でしたが、均等割の月割分は払いました。2期目からは黒字で、1期目の繰越欠損があったので法人税等は少額でした。

社会保険の違い|社長ひとりでも厚生年金に入る

日本年金機構によると、法人の事業所は「事業主のみの場合を含む」常時従業員を使用していれば、健康保険・厚生年金の強制適用事業所です。社長ひとりの会社でも、役員報酬を払えば社会保険に入ることになります。個人事業所の場合は、常時5人以上の従業員がいる一定の業種が強制適用で、個人事業主本人は国民健康保険と国民年金に入ります。

👤 個人事業主本人
📝 国民健康保険(市区町村)
📝 国民年金(令和8年度は月17,920円)
📝 保険料は全額自分で負担
年金は基礎年金のみ
🏢 法人の社長
✅ 健康保険(協会けんぽなど)
✅ 厚生年金
⚠️ 保険料は会社と本人で負担(合計では会社のお金から出る)
報酬に応じて保険料が決まる

私は会社員のまま法人を作ったので、1期目は本業の会社と自分の会社の両方から給与が出ている状態でした。このときは年金事務所で「二以上事業所勤務届」の手続きをしています。本業の会社には何も依頼していません。詳しくは二以上事業所勤務届の手続きにまとめました。

あなたはどっち向き?チェックリスト

どちらが正解かは人によって違います。次の表で、当てはまる項目が多いほうを目安にしてみてください。

見るところ個人事業主が向いている法人が向いている
もうけの大きさまだ小さい・変動が大きい安定して大きくなってきた
続ける見込みお試し・いつやめるか分からない長く続けるつもり
取引先個人相手・個人でも契約できる法人としか契約しない会社と取引したい
手間とコスト事務作業と固定費を最小にしたい税理士費用や均等割を払っても見合う
お金の分け方生活と事業をざっくり管理したい会社と個人のお金をはっきり分けたい
働き方会社員の副業として小さく続ける独立して事業を本業にする予定がある

※目安です。税額や社会保険料の具体的な試算は顧問税理士に相談してください。

会社員・フリーランス・ひとり法人の3つの働き方を比べた正社員vsフリーランスvsひとり法人もあわせて読むと、自分の位置が分かりやすくなります。合同会社と株式会社のどちらにするかは合同会社vs株式会社で比べています。私は費用が安いという理由で合同会社を選びました。

個人事業主から法人化(法人成り)の流れ

個人事業主が会社を作り、事業を会社に移すことを「法人成り」といいます。大まかな流れは次のとおりです。

STEP1
会社の中身を決める
会社の形(合同会社か株式会社か)、商号、本店所在地、事業目的、資本金、決算月を決めます。
STEP2
定款を作り、資本金を払い込み、設立登記をする
合同会社の定款は公証人の認証が要りません。登録免許税は最低6万円です。会社は登記によって成立します。
STEP3
税務署・自治体・年金事務所に届出をする
法人設立の届出、青色申告の承認申請、給与支払事務所の届出、社会保険の新規適用など。期限があるものが多いので、税理士と一緒に確認します。
STEP4
法人口座を作り、取引先との契約を会社名義に切り替える
請求書の発行元、入金口座、各種サービスの契約者を会社に変えていきます。
STEP5
個人事業の廃業の届出と、最後の確定申告をする
個人事業主だった人は、税務署に廃業の届出を出し、その年の個人事業分を確定申告します。事業用の資産を会社に移す場合の扱いは税理士に確認します。

設立の手順と費用は合同会社の設立手順と費用で、私が実際にたどった流れごと書いています。私は弥生の「かんたん会社設立」を使い、電子定款は無料で作成、電子署名は提携の行政書士に代行してもらい、登記の申請は自分で法務局に出しました。

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私が個人事業を経由せず、副業から直接法人にした判断

一般的な順番は「副業 → 個人事業主 → 法人成り」です。私はこの真ん中を飛ばして、副業の雑所得から直接、合同会社を作りました。

私がたどったルート
💻
2011年〜 副業
会社員のまま。雑所得で確定申告。開業届は出さない
›
🏢
2023年2月 合同会社
会社員のまま設立。5月から副業の売上を法人へ
›
🚪
2023年9月末 退職
10月からSESの案件。9月決算
「個人事業主」の期間はゼロ。設立から退職までは約7か月

副業の収入は、2021年から2022年にかけて約3倍に増えていました。会社員の空き時間はほぼ副業に使っていました。収入が安定したのは、副業マッチングサービス経由で、一定量の仕事をもらえる会社と継続して契約してからです。副業の売上の推移と、法人化を考えたタイミングは副業の売上推移と法人化で詳しく書いています。

ゴウ
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書類の上では「個人事業主の期間はゼロ」ですが、自分の感覚はむしろ逆で、副業をしていた12年間は個人事業主をしながら会社にも勤めているような意識でした。開業届は出さず、副業の所得は雑所得で申告していましたが、仕事の取り方や見積もりの感覚は、その間に身についています。

そこから開業届ではなく合同会社を選んだのは、もともと法人への憧れのようなものがあったこと、取引のときに法人のほうが有利なこと、そして税金の面です。

開業届を出していなかったので、法人成りのSTEP5にあたる個人事業の廃業の届出や、個人から会社への事業用資産の引き継ぎはありませんでした。副業の確定申告は雑所得でしていて、会社を作ったあとは5月から副業の売上を法人に入れるようにしています。

ただ、ふり返ると、登記・口座開設・税理士との契約・社会保険の手続きを、難しく考えすぎていたと思います。実際には、不完全でもまず窓口や専門家に連絡すれば、相談に乗ってもらえました。設立前に気をつけたい点は設立前の3つの罠にまとめています。

ゴウ
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法人にしてよかったと感じるのは、まずお金の管理がはっきりしたことです。会社のお金と自分のお金が口座から分かれ、自分の取り分は役員報酬として決まります。もうひとつは、税務的に優遇されている制度を使うようになったことです。経営セーフティ共済や小規模企業共済は、法人にしてから(本業を退職したあとの2期目から)使っています(どちらも個人事業主が使える制度ですが、私は法人になってから始めました)。

よくある質問

Q. 個人事業主は法人ですか?
A. いいえ。個人事業主は会社を作らずに個人で事業をしている人で、法人ではありません。屋号を付けていても同じです。法人は登記によって成立し、社長とは別の「人」として契約や納税をします。
Q. 個人事業主と法人で、税金はどちらが安いですか?
A. 所得の大きさや役員報酬の決め方で変わるので、一概には言えません。所得税は5〜45%の累進、法人税は中小法人なら年800万円以下15%・超える部分23.2%です。ただ法人には赤字でも均等割がかかり、社長の社会保険料も増えます。売上と経費の見込みで税理士に試算してもらうのが確実です。
Q. 個人事業主を経ずに、いきなり法人を作ってもいいですか?
A. 問題ありません。法人を作るのに、個人事業主の経験は必要ありません。私も開業届を出さないまま、副業から合同会社を作りました。ただし、会社員のまま作るなら、就業規則の副業の決まりは先に確認しておきましょう(就業規則で確認する3か所)。
Q. 法人成りすると、社会保険はどうなりますか?
A. 法人の事業所は、社長ひとり(事業主のみ)でも健康保険・厚生年金の強制適用事業所です。役員報酬を払うなら、国民健康保険・国民年金から、会社の健康保険・厚生年金に切り替わります。手続きは年金事務所で確認してください。
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まとめ

個人事業主と法人の違いは、事業の持ち主が「自分個人」か「別の人格の会社」かという点から始まります。個人事業主は始めるのもやめるのも軽く、法人はお金と手間がかかるかわりに、役員報酬と会社の利益に分けて考えられ、会社名で取引できます。私は個人事業主を経由せず、副業から直接合同会社を作りました。どちらが合うかは、もうけの大きさと、続ける見込みで考えるのがおすすめです。

✅ この記事のまとめ
  • 個人事業主は「個人」で、法人ではない。法人は登記で成立する別の「人」
  • 所得税は5〜45%の累進、法人税は中小法人なら15%/23.2%の2段階
  • 法人は赤字でも均等割がかかり、社長ひとりでも社会保険の強制適用
  • 法人は役員報酬と会社の利益に分けて考えられる(役員報酬は原則毎月同額)
  • 始める・やめる手間とコストは個人事業主のほうが軽い
  • 副業から個人事業主を経ずに、直接法人を作ることもできる
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ひとり社長の制度の小ネタや、副業から法人化までの気づきを毎日投稿しています。

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副業から合同会社を設立して4年目のひとり社長/エンジニア
本業を持ちながら副業(口コミサイトと受託開発)を12年育て、本業と並行して合同会社を設立。その後、法人に一本化しました。いまはSESを本業に、自社Webサービスと口コミサイトを運営しています。立ち上げ前に自分が不安だったこと・迷ったことを、実際にどうだったかと一緒に書いています。
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