法人で投資すると損?ひとり社長は個人のNISAが先|年360万円の枠と役員報酬の決め方
会社を作ると、お金の置き場所が「個人の財布」と「会社の口座」の二つになります。設立前の私が地味に迷ったのが、「会社の利益で投資したほうが得なのか、それとも自分の給料としてもらってNISAで運用したほうが得なのか」という問題でした。
結論:ひとり社長でも、まず個人のNISAを埋める
先に結論を書くと、会社員兼業のひとり社長にとっての基本は「個人のNISA枠を優先して使い、法人での資産運用はその後」です。理由は単純で、NISAは運用益が非課税なのに対し、法人が株式や投資信託で得た利益には法人税がかかるからです。
✅ 課税 0円(非課税)
✅ 手元に残る 10万円
⚠️ 法人税等の対象(益金)
⚠️ 個人へ移すときにも課税
新NISAの基本(2026年時点)
🌱
つみたて投資枠
年間120万円
🚀
成長投資枠
年間240万円
🏆
生涯1,800万円
うち成長投資枠は1,200万円まで
♾️
非課税期間
無期限
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| つみたて投資枠 | 年間120万円 |
| 成長投資枠 | 年間240万円 |
| 非課税保有限度額 | 生涯1,800万円(成長投資枠は1,200万円まで) |
| 非課税期間 | 無期限 |
| 対象年齢 | 18歳以上(2027年1月からは未成年向けの「こどもNISA」も導入予定) |
会社員の給与と役員報酬を合わせた手取りの中から、まずこの枠を埋めていく。それだけで多くの人にとっては十分な投資枠です。
法人で投資するとどうなるか
では法人口座で投資信託や株を買うとどうなるか。法人の場合、売却益や配当は法人の益金に算入され、法人税等の対象になります。NISAのような非課税制度は法人にはありません。一方で、含み損を抱えた場合の扱いなど、法人ならではの論点もあり、税理士と相談せずに始めるのはおすすめしません。
- 法人の運用益は課税される(NISAのような非課税枠はない)
- 証券会社の法人口座は個人口座とは別に開設が必要で、審査もある
- 決算書に有価証券が載るので、融資や取引先への見え方も変わる
| 個人のNISA | 法人口座での投資 | |
|---|---|---|
| 運用益への課税 | 非課税 | 法人税等の対象 |
| 年間の枠 | 360万円(生涯1,800万円) | 枠の制限なし |
| 口座開設 | 個人の証券口座(一人一口座) | 証券会社の法人口座(審査あり) |
| 決算への影響 | なし | 有価証券として決算書に載る |
| 向いている段階 | 最初から | 個人の枠を使い切り、余剰資金がある段階 |
ひとり社長が法人で投資を検討する意味が出てくるのは、個人のNISA枠を使い切り、かつ会社に使い道のない利益が積み上がってきた段階からです。そこまでは、個人のNISAと小規模企業共済で十分です。
役員報酬の設計とNISAの関係
個人に移す
非課税で運用
会社員兼業のひとり社長は、役員報酬をゼロにしている人も多いと思います。その場合、NISAの原資は本業の給与だけになります。会社に利益が残っていて、それを個人に移してNISAで運用したい場合は、役員報酬を設定するか、決算後に配当として受け取るかのどちらかになります。ただし役員報酬を出すと社会保険の話が出てくるので、ここは設計次第です。
✅ 経営セーフティ共済・設備投資・運転資金に
✅ 役員報酬ゼロ → 社保の論点なし
➖ NISAの原資は本業の給与のみ
✅ NISA・iDeCoの原資が増える
⚠️ 役員報酬を払うと社保の二以上事業所勤務
⚠️ 報酬は期首3か月以内に決めて期中は原則固定

NISA口座はどこで開くか
NISA口座は一人一口座です。ひとり社長の場合、あとで法人口座や法人カードも同じグループで揃えられるかどうかは判断材料になります。ネット証券のSBI証券・楽天証券のどちらかを選んでおけば、手数料・商品ラインナップの面で困ることはまずありません。
NISA口座は一人一口座なので、まず「口座をどこで開くか」を決め、そのうえで何を積み立てるかを選びます。私が実際に使っている2つを挙げておきます。
SBI証券。NISAもiDeCoもここに寄せていて、投資信託の品揃えと手数料で困ったことはありません。個人側の銀行・クレカ積立と連携しやすいのも理由です。
ひふみ投信。運用会社が自分で発掘した成長企業に投資するアクティブ型の投資信託で、運用会社から直接口座を開いて積み立てる形です。私も少額で積み立てています。値動きはインデックスより大きくなりうるので、主役ではなく「一部」として持つのが向いていると思います。
※投資信託は元本が保証されません。商品内容・手数料は各社公式サイト(2026年9月時点)で確認してください。
私はSBI証券でNISAとiDeCoを運用していて、楽天証券にも口座があります。法人口座はGMOあおぞらネット銀行なので系列は揃っていませんが、個人側の運用はSBIに寄せています。
まとめ
- ひとり社長でも、まず個人のNISA枠(年360万円・生涯1,800万円)を優先する
- 法人の運用益は課税されるので、法人での投資は個人の枠を使い切ってから
- 役員報酬をゼロにしているとNISAの原資は本業の給与だけになる
- 証券会社は法人口座との相性で選ぶと、あとが楽

