設立後の運営とお金
PR

会社役員のふるさと納税|役員報酬・役員賞与・配当がある人の上限の考え方と、ワンストップ特例が使えない場合【2026年】

gou
記事内に商品プロモーションを含む場合があります
📢 本記事は、ひとり合同会社の代表社員・ゴウが、総務省ふるさと納税ポータル、国税庁のタックスアンサー・確定申告の手引き、財務省「令和8年度税制改正の大綱」をもとに書いています。内容は2026年10月時点のものです。控除の上限は個人の所得・控除で変わるので、最終的な金額は各ポータルの詳細シミュレーターや市区町村で確認してください。一部にアフィリエイト広告(PR)を含みます。

会社役員のふるさと納税は、役員報酬(+役員賞与)を「給与収入」として計算すれば、基本は会社員と同じです。ただし役員には、自社から家賃や利子を受け取っている、配当がある、給与が2か所ある、年の途中で報酬を変えたなど、ワンストップ特例が使えなかったり、上限の見積もりがずれたりする落とし穴がいくつかあります。

この記事では、役員報酬・役員賞与・配当がある人の上限の考え方、ワンストップ特例が使えないケースのチェックリスト、報酬を変えた年の見積もり方を、設立4年目のひとり合同会社の社長として毎年寄附している私の実例つきで整理します。ひとり社長に絞った話(経費になるか、企業版との違い)はひとり社長のふるさと納税にまとめています。

ゴウ
ゴウ
私は毎年、上限に近いところまで寄附しています。上限はポータルサイトのシミュレーターに役員報酬を入れて見積もっています。会社員時代に自分の会社から役員報酬ももらっていた年は給与が2か所になったので、ワンストップではなく確定申告で控除しました。役員報酬を大きく変えた年も、その年の見込みで普通に寄附しています。

役員報酬・役員賞与は「給与収入」として計算する

ふるさと納税の控除は、所得税の寄附金控除と、住民税の基本分・特例分の3段で効きます。自己負担2,000円で済む上限を決めているのは住民税の特例分が「住民税所得割額の20%」までというルールで、所得割額は年間の所得で決まります。

控除計算備考
所得税の寄附金控除(寄附額 − 2,000円)× 所得税率総所得金額等の40%が上限。復興特別所得税分(×1.021)を含めて計算
住民税 基本分(寄附額 − 2,000円)× 10%総所得金額等の30%が上限
住民税 特例分(寄附額 − 2,000円)×(90% − 所得税率)住民税所得割額の20%が上限。ここを超えると自己負担が2,000円を超える

出典:総務省ふるさと納税ポータル「税金の控除について」。上限額の目安を出す式(所得割額×20%÷(90%−所得税率×1.021)+2,000円)は自治体の案内(神戸市)に掲載されている一般的な式で、寄附の時点では所得割額が確定していないため、あくまで目安です。

役員が会社から受け取る役員報酬は給与所得です(国税庁タックスアンサーNo.1400「給与所得」。役員の報酬・賞与も給与に含まれます)。事前確定届出給与として受け取る役員賞与も給与所得なので、上限を見積もるときは「月額報酬×12 + 賞与」の年間合計を、シミュレーターの「給与収入」(源泉徴収票の「支払金額」に当たる額)として入れます。

出典:総務省「税金の控除について」、国税庁タックスアンサーNo.1400、神戸市「ふるさと納税の控除のしくみ」

役員報酬の月額別・上限の目安

総務省の目安表(給与所得者、社会保険料は収入の15%と仮定、住宅ローン控除・医療費控除なし、中学生以下の子は計算に含めない)から、役員報酬の月額に近い年収の行を抜き出しました。賞与がある人は年収に足して見てください。

役員報酬 月額年収(賞与なし)独身・共働き配偶者控除あり
30万円360万円約3.4〜3.8万円約2.6〜2.9万円
40万円480万円約5.6〜6.1万円約4.5〜4.9万円
50万円600万円約7.7万円約6.9万円
60万円720万円約10.8〜11.3万円約8.6〜10.4万円
80万円960万円約16.3〜17.0万円約15.4〜16.0万円
100万円1,200万円約23.9万円約22.9万円

総務省ふるさと納税ポータルの「全額控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安」を自治体(鹿児島市・益田市)が転載した表の前後の行から。年収が表の行の間にある月額は幅で示しています。「共働き」は本人が配偶者控除を受けていない場合、「配偶者控除あり」は配偶者に収入がない場合。iDeCo・小規模企業共済の掛金、医療費控除があると下がり、配当を申告すると上がります。

⚠️ 役員がシミュレーターで間違えやすいところ
  • 社会保険料は実額を入れる。目安表は「収入の15%」前提だが、役員は標準報酬月額の上限や賞与の上限で割合が変わる
  • iDeCo・小規模企業共済は「小規模企業共済等掛金控除」の欄に。全額所得控除なので、掛金が大きいと上限がはっきり下がる
  • 配偶者が自社から給与を受けていて配偶者控除の対象外なら「共働き」の列で見る
  • 退職金は分離課税なので、役員退職金を受け取った年でも上限の計算には原則入らない

配当がある役員の上限の考え方

自社の株式(持分)の配当や、保有している上場株式の配当がある役員は、配当を申告するかどうかで上限が変わります。配当所得は原則として総合課税ですが、上場株式等は申告分離課税や申告不要を選べ、非上場(自社株など)は少額配当なら申告不要を選べます。

配当の種類選べる扱いふるさと納税の上限への影響
上場株式等の配当申告不要/申告分離課税/総合課税申告不要なら上限に影響しない。申告すると住民税所得割が増えて上限は上がるが、確定申告になるのでワンストップは無効
非上場(自社株など)の配当原則 総合課税。少額配当(1回10万円×配当計算期間の月数÷12 以下)は所得税の申告不要を選べる所得税で申告不要にしても住民税では申告が必要(総合課税)。住民税所得割が増える分、上限は上がる

出典:国税庁タックスアンサーNo.1330「配当金を受け取ったとき(配当所得)」、No.1250「配当所得があるとき(配当控除)」、中央区「配当所得の住民税の申告」。令和5年分(令和6年度住民税)から、所得税と住民税で異なる課税方式を選ぶことはできなくなりました。

ポイントは2つです。1つ目は、上場株の配当を申告して配当控除や損益通算を受けると、確定申告をすることになるのでワンストップ特例が使えなくなること。2つ目は、非上場の自社株の配当は所得税で申告不要を選んでも住民税の申告が要るので、住民税の所得割(=上限の土台)は増えることです。配当が絡む年は、ポータルの詳細シミュレーターに配当の額を入れるか、自治体の住民税の窓口で確認するのが確実です。

出典:国税庁No.1330、国税庁No.1250、中央区「配当所得」、練馬区「配当所得」

ワンストップ特例が使えない役員のチェックリスト

ワンストップ特例は「確定申告の不要な給与所得者等」が、寄附先5自治体以内で使える仕組みです。確定申告をする年は、申請書を出していてもワンストップは無効になり、その年の寄附をすべて確定申告の寄附金控除に書き直す必要があります(国税庁 確定申告の手引き)。役員で当てはまりやすいのは次のケースです。1つでも当てはまれば確定申告で控除します。

✅ ワンストップが使える
給与は自分の会社からの役員報酬(+賞与)だけ
会社で年末調整をしている(年収2,000万円以下)
寄附先が年5自治体まで
自社から家賃・利子などを受け取っていない
配当は申告不要にしている(または配当がない)
医療費控除など、ほかに確定申告をする理由がない
⚠️ 確定申告が必要(ワンストップ無効)
自社(同族会社)から家賃や貸付金の利子を受け取っている(金額の多寡にかかわらず申告が必要とされる。No.1900)
給与が2か所以上で、年末調整されなかった給与+ほかの所得が20万円超(会社員のまま自社から役員報酬をもらう人など)
役員報酬+賞与の年収が2,000万円超(年末調整の対象外)
副業・不動産などの所得が20万円超
上場株の配当を総合課税・申告分離で申告する
6自治体以上に寄附した/医療費控除・住宅ローン控除1年目など

特に自宅兼事務所の家賃を自社から受け取っている社長は、ほかに申告の理由がなくても確定申告が必要なので、ワンストップは使えません。会社員のまま自分の会社から役員報酬をもらっている人は、会社員のまま役員報酬をもらう人の確定申告で確定申告の流れを書いています。

出典:総務省「ふるさと納税ワンストップ特例制度」、国税庁 確定申告の手引き(ワンストップ特例の申請が無効となる場合)、国税庁No.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」

ゴウ
ゴウ
私の場合、会社員として本業の給与をもらいながら自分の会社から役員報酬ももらっていた年は、給与が2か所なので確定申告でした。寄附金控除は確定申告書に自分で書きます。e-Taxで源泉徴収票2枚と寄附の証明を入力するだけなので、ワンストップが使えなくても手間はそれほど変わりませんでした。

報酬を変えた年・退職した年の見積もり方

上限はその年の1〜12月の収入で決まります。役員報酬を期の初めに改定した年、会社員を辞めて役員報酬が大きく変わった年は、改定前の月数×旧月額 + 改定後の月数×新月額(+賞与)で年収を見積もってシミュレーターに入れます。

🧮 見積もりの例(6月に改定した場合)
1〜5月:月30万円 × 5か月 = 150万円
6〜12月:月50万円 × 7か月 = 350万円
年収の見込み = 150万円 + 350万円 = 500万円 → 目安表の「500万円」の行で見る
💡 見積もりがずれやすい年の寄附のしかた
  • 年収が確定するまでは上限の8〜9割にとどめ、12月に残りを寄附する二段構えにする
  • 会社員を辞めた年は、前の会社の給与+役員報酬を合算する(源泉徴収票が2枚になる年は確定申告)
  • 社会保険料は報酬の改定で変わる。標準報酬月額が変わった月以降の実額で見積もる
  • 12月の役員賞与(事前確定届出給与)は年収に入れる。賞与の額が決まってから寄附すると確実
ゴウ
ゴウ
私は会社員を辞める前は月15万円、退職後の2期目から月60万円に役員報酬を変えました。変えた年も特に迷わず、その年の見込みの年収で普通に寄附しています。役員報酬は期の初めに決めたら期中は動かないので、年の初めに上限の見当がつくのは、会社員時代より楽になった点です。年末には税理士から「寄附など年内に済ませるものはないか」を確認してもらっています。

2026年・2027年の制度変更で変わるところ

いつから変更役員への影響
2026年分(令和8年分)の所得税基礎控除・給与所得控除の引き上げ(所得税側)住民税の基礎控除は変わらないので、上限の目安は大きくは変わらない。所得税率の境目付近の人は特例分の計算にずれが出て自己負担が2,000円を超える場合があるという分析がある(ニッセイ基礎研究所)
2027年の寄附(令和10年度分住民税)から特例控除に定額の上限(道府県民税77.2万円・市町村民税115.8万円、指定都市は38.6万円・154.4万円)給与収入1億円相当以上の人が対象。通常の役員報酬の範囲では影響なし

出典:財務省「令和8年度税制改正の大綱」(令和7年12月26日閣議決定)p.32-33、総務省 自治税務局資料(令和8年3月24日)、ニッセイ基礎研究所「税制改正でふるさと納税額はどうなる?」(2025年4月)。

よくある質問

Q. 役員賞与(事前確定届出給与)は上限の計算に入りますか?
A. 入ります。役員賞与も給与所得なので、月額報酬×12に賞与を足した年収でシミュレーターに入れます。賞与の額が決まる前に寄附するなら、賞与を除いた年収で控えめに見積もるのが安全です。
Q. 自社から家賃を受け取っていると、本当にワンストップは使えませんか?
A. 同族会社の役員がその会社から貸付金の利子や資産の賃貸料を受け取っている場合は確定申告が必要とされています(国税庁No.1900)。確定申告をする年はワンストップの申請が無効になるので、寄附金控除は申告書に書きます。
Q. 配当を申告したほうがふるさと納税の上限は上がりますか?
A. 住民税所得割が増える分、上限は上がります。ただし申告すると確定申告になるのでワンストップは使えず、配当の課税方式は所得税と住民税で統一されます。配当控除や損益通算との兼ね合いもあるので、金額が大きい年は税理士に確認するのが無難です。
Q. 役員報酬を年の途中で下げた年はどうすればいいですか?
A. 下げた後の月数で年収を見積もり直します。上限も下がるので、すでに寄附した額が新しい上限を超えないか確認してください。超えた分は自己負担になります。

まとめ

会社役員のふるさと納税は、役員報酬と賞与を給与収入として計算すれば会社員と同じです。違いが出るのは、自社からの家賃・利子、配当、2か所給与といった役員ならではの事情があるときで、その年は確定申告で控除する前提で寄附の計画を立てます。

📝 この記事のまとめ
  • 役員報酬・役員賞与は給与所得。上限は「月額×12+賞与」をシミュレーターの給与収入に
  • 上限の土台は住民税所得割の20%。iDeCo・共済の掛金で下がり、配当を申告すると上がる
  • 自社から家賃・利子を受け取る役員、給与2か所、年収2,000万円超はワンストップ不可→確定申告
  • 上場株の配当を申告すると確定申告になりワンストップ無効。非上場の少額配当は住民税の申告が必要
  • 報酬を変えた年は「改定前の月数×旧月額+改定後の月数×新月額」で見積もり、8〜9割にとどめて12月に調整
  • 2026年分の所得税改正で上限の目安は大きく変わらない。2027年寄附からの定額上限は年収1億円相当以上が対象
Xでも発信しています

ひとり社長の制度の小ネタや、副業から法人化までの気づきを毎日投稿しています。

@hitori_goudou をフォローする
ABOUT ME
ゴウ
ゴウ
副業から合同会社を設立して4年目のひとり社長/エンジニア
本業を持ちながら副業(口コミサイトと受託開発)を12年育て、本業と並行して合同会社を設立。その後、法人に一本化しました。いまはSESを本業に、自社Webサービスと口コミサイトを運営しています。立ち上げ前に自分が不安だったこと・迷ったことを、実際にどうだったかと一緒に書いています。
記事URLをコピーしました