副業を合同会社にする前に知らないと損する3つの罠|社会保険・法人口座・赤字でもかかる税金
合同会社は株式会社より安く早く作れます。だからこそ「勢いで作って、あとから困る」ことが起きやすい。私自身、設立してから「これ、先に知っておきたかった」と思ったことがいくつかあります。この記事では、会社員が副業を合同会社にするときに設立前に知らないと損する3つの罠をまとめます。

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罠1:社会保険
役員報酬を払うと
本業に副業がわかる
🏦
罠2:法人口座
審査で落ちることがある
🧾
罠3:赤字でも税金
均等割+税理士費用
罠1:役員報酬を払うと社会保険が「もう一つ」発生する
会社員は本業の会社で健康保険と厚生年金に入っています。自分の合同会社から役員報酬を払うと、原則として合同会社でも社会保険に加入する必要があり、二つの会社で「二以上事業所勤務」の届出をすることになります。
→ 社保加入義務
- 保険料は両方の報酬を合算して計算され、それぞれの会社が報酬の割合で負担する
- 手続きは年金事務所への届出が必要で、本業の会社にも通知が届く形になる
- 結果として本業の会社に副業法人の存在が事実上わかる
| 役員報酬ゼロ | 役員報酬あり | |
|---|---|---|
| 合同会社での社会保険 | 加入義務なし | 原則加入(二以上事業所勤務) |
| 本業に副業がわかるか | 手続き上はわからない | 年金事務所からの通知でわかる |
| 個人の手取り | 本業の給与のみ | 給与+役員報酬(社保・税は増える) |
| 会社の利益 | 会社に残る(法人税の対象) | 報酬分は損金になる |
| 向いている人 | 副業を伏せたい・会社にお金を残したい | 本業が副業を認めている・個人に移したい |
副業を会社に知られたくない人が「役員報酬ゼロ」で始めるのは、この罠を避けるためです。役員報酬ゼロなら社会保険の加入義務は生じません。ただし、役員報酬は事業年度の開始から3か月以内に決めたら原則として期中は変えられない(定期同額給与)というルールがあるので、「いつから、いくら払うか」は設立前に決めておく必要があります。

罠2:法人口座は「作れて当たり前」ではない
個人の銀行口座は誰でも作れますが、法人口座には審査があります。設立したばかりで、実績も事務所もない、代表者が会社員兼業、というひとり合同会社は、銀行から見ると「実体があるかどうか判断しにくい会社」です。実際、メガバンクや地方銀行では断られることも珍しくありません。
❌ 事業内容が登記簿から読み取れない
❌ 自宅兼事務所で実績ゼロ
❌ 代表が会社員兼業(実体を疑われる)
✅ 定款・登記簿の事業目的をわかりやすく
✅ ネット銀行の法人口座から申し込む
✅ 複数のネット銀行に同時に申し込む
登記簿謄本(履歴事項全部証明書)と印鑑証明が取れる状態にする
ホームページ、名刺、(あれば)契約書や請求書
審査はオンラインで完結。複数行に同時申込みが現実的
売上入金・経費支払い・共済の申込みはすべてここから
法人口座がないと、売上の入金も、経費の支払いも、共済の申込みもできません。設立登記が終わったら、まず最初にやるのが法人口座の申込みです。
登記完了後に最初にやるのが法人口座の申込みです。私は設立後にネット銀行に申し込み、審査落ちはありませんでした。
GMOあおぞらネット銀行。振込100円台・維持無料・Pay-easy対応で、バーチャルオフィスの住所でも申し込めることを公式が明記しています。設立後に申し込みました。
ラクスルバンクはGMOあおぞらネット銀行の専用支店で、他行宛ての振込が一律119円、GMOあおぞら宛ては無料、口座維持費も無料。最短当日で開設できます。
※手数料は各社公式サイト、2026年9月時点の公表内容です。
私は設立直後にGMOあおぞらネット銀行で開設でき、いまもメイン口座です。そのあとPayPay銀行、さらに共済の引き落とし用に三井住友銀行と、結果的に3口座になりました。詳しくは法人口座の記事に書いています。
GMOあおぞらもPayPay銀行も審査は早く、落ちた銀行はありません。副業で12年の実績があったことが効いたようです。
罠3:赤字でも税金はかかる(法人住民税の均等割)
個人事業なら、赤字の年は所得税も住民税もかかりません。しかし法人には法人住民税の「均等割」があり、資本金1,000万円以下・従業員50人以下のひとり会社でも、赤字であっても年間およそ7万円(自治体により異なる)がかかります。
さらに、決算と法人税の申告は個人の確定申告よりはるかに複雑で、自分でやるのはかなり大変です。税理士に頼むと年間で十数万〜数十万円の顧問料・決算料がかかります。つまり、売上がほとんどない状態で法人を作ると、毎年10万〜30万円程度の「会社を維持するコスト」だけが出ていくことになります。
個人事業と合同会社の「維持コスト」比較
| 個人事業 | 合同会社(ひとり) | |
|---|---|---|
| 赤字の年の税金 | 所得税・住民税ともに0 | 法人住民税の均等割 年約7万円 |
| 申告 | 確定申告(自分でも可能) | 法人税申告(税理士に頼むのが一般的) |
| 税理士費用の目安 | 0〜数万円 | 年十数万〜数十万円 |
| 設立費用 | 0円(開業届のみ) | 登録免許税6万円〜+定款・印鑑など |
| 年間の固定コスト目安 | ほぼ0 | 10万〜30万円程度 |
💸 赤字でも出ていくお金
🏛️
法人住民税 均等割
年約7万円
🧑💼
税理士費用
年十数万〜
💻
会計ソフト
年数万円
🧾
合計
年10万〜30万円
副業の利益がどのくらいあれば法人化する意味があるのか。よく言われる目安は「課税所得で年500〜800万円以上」ですが、これは人によって違います。私は「法人にすることで得られる節税額が、維持コストを明確に上回るか」で判断しました。
私の1期目(7か月)は売上約200万円で赤字、法人税等は均等割だけでした。維持コストと法人化の判断基準については、3期分の決算の記事と副業12年半の売上推移の記事に書いています。
税理士の顧問料は月2万円弱。均等割と合わせて、ひとり会社でも年30万円前後は「会社を持つコスト」として毎年出ていきます。
罠を知った上で、それでも法人にする理由

まとめ
- 役員報酬を払うと社会保険の二以上事業所勤務が発生し、本業に副業がわかる。報酬の有無と時期は設立前に決める
- 法人口座には審査がある。ネット銀行から申し込み、事業の実体を示せる準備をしておく
- 赤字でも法人住民税の均等割(年約7万円)と税理士費用がかかる。維持コストを上回る利益があるかで判断する

