合同会社の決算月はいつにする?消費税の免税期間・繁忙期・均等割・税理士の都合で決める4つの視点と、あとから変える方法
定款を作るときに「事業年度(決算月)」を決めなければなりません。3月決算が多いから3月、で決めてしまう人が多いのですが、ひとり法人は自由に決められるので、消費税の免税期間・繁忙期・均等割・税理士の都合を見て決めたほうが得です。この記事では、決算月を決める4つの視点と、あとから変える方法をまとめます。

結論:「設立月の前月」を基本に、繁忙期を避ける
視点①:消費税の免税期間を最大にする
資本金1,000万円未満で設立した法人は、原則として1期目と2期目は消費税が免税です(基準期間がないため)。免税期間は「事業年度2期分」なので、1期目をできるだけ長くすると免税期間が最長になります。つまり設立月の前月を決算月にすると、1期目がほぼ12か月になり、合計で最長2年弱の免税を確保できます。
| 設立日 | 決算月 | 1期目の長さ | 免税期間の目安(1期+2期) |
|---|---|---|---|
| 2月27日 | 1月末 | 約11か月 | 約23か月(最長) |
| 2月27日 | 9月末 | 約7か月 | 約19か月 |
| 2月27日 | 3月末 | 約1か月 | 約13か月(最短) |
※特定期間(1期目の最初の6か月)の課税売上高と給与支払額がどちらも1,000万円を超えると、2期目から課税事業者になります。1期目が7か月以下の場合は特定期間の判定がありません。
- 特定期間の判定は「前事業年度が7か月以下なら行わない」ルールがある
- 設立直後から売上・給与が大きい見込みなら、1期目を7か月以下にして2期目の免税を確実にする、という設計もある
- 一方で1期目が短いと免税期間の合計は短くなる。売上規模の見込みで選ぶ
- インボイス登録すると免税は消えるので、取引先が課税事業者中心なら免税期間の価値は下がる(インボイス対応の記事参照)
視点②:本業・副業の繁忙期とずらす
決算作業は決算月の翌月〜2か月後に集中します(申告・納付は決算後2か月以内)。会社員の兼業なら、本業の繁忙期(年度末の3月、期末の9月など)と決算作業が重ならない月を選びます。副業の売上が集中する月があるなら、その直後を決算にすると1期目に売上を多く取り込めますが、逆に利益が大きく出て法人税が増えることもあるので、税理士と相談して決めます。
⚠️ 税理士の繁忙期(12〜5月)と重なる
⚠️ 本業が年度末で忙しい人は最悪の組み合わせ
👉 取引先との年度合わせが必要な人向け
✅ 12月は個人の確定申告と時期が近く、年間の数字を一度に整理しやすい
⚠️ 12月決算は年末調整・確定申告と重なりやすい
👉 私は9月。本業の年度末とずれる
✅ 1期目が長く、均等割は12か月分
⚠️ 月が中途半端になることがある(1月決算など)
👉 免税を最大にしたい人向け
視点③:均等割は月割になる
法人住民税の均等割(年7万円)は、事業年度の月数で月割りされます。1期目が7か月なら約4万円、1か月なら約6,000円です。1期目が短いほど1期目の均等割は少ないですが、2期目以降は毎年7万円なので、長い目で見た差はありません。「1期目が短くて損」ではない、という意味で覚えておけば十分です。
視点④:税理士の繁忙期
日本は3月決算法人が多く、税理士事務所は12月(年末調整)〜3月(個人の確定申告)〜5月(3月決算法人の申告)が繁忙期です。この時期に決算が当たると、対応が遅れがちになることがあります。とはいえ、繁忙期を避けることより相談しやすい税理士を選ぶことのほうが大事です。決算月を決める前に税理士に相談できるなら、それが一番確実です。
決算月の決め方フロー
必要なら3月決算。ひとり法人で受託中心なら不要なことが多い
決算月の翌月〜2か月後が決算作業。本業の年度末(3月・9月)の直前は避ける
したいなら設立月の前月。取引先の都合でインボイス登録するなら優先度は下がる
定款に「毎年○月1日から翌年○月末日まで」と書く。設立登記後の変更は可能だが手間
あとから変える方法
決算月は登記事項ではないので、法務局の手続きは不要です。合同会社なら総社員の同意で定款を変更し(ひとり法人なら自分の同意書)、税務署・都道府県税事務所・市区町村に「異動届出書」を出します。変更後の事業年度は1年を超えられないので、変更する期は短い事業年度になります。
| 手続き | 提出先 | 備考 |
|---|---|---|
| 定款変更(総社員の同意書) | 社内で保管 | 登記不要。同意書と変更後の定款を保管 |
| 異動届出書(事業年度の変更) | 税務署 | 変更後すみやかに。定款の写しを添付 |
| 異動届出書 | 都道府県税事務所・市区町村 | 同上 |
| 消費税・源泉の届出の見直し | 税務署 | 簡易課税の適用期間などが変わる場合は確認 |
※変更する事業年度は12か月未満になるため、その期の均等割は月割、減価償却なども月数按分になります。
- 変更した期は事業年度が短くなり、法人税の申告が1回増える(税理士の決算料も1回分)
- 簡易課税の2年縛りや、消費税の基準期間の判定がずれるので、税理士に影響を確認する
- 役員報酬の「期首3か月以内」のルールも、短い事業年度で数え直しになる

まとめ
- 決算月は設立から最長1年の範囲で自由。3月決算にする必要はない
- 免税期間を最長にするなら「設立月の前月」。1期目を7か月以下にすると特定期間の判定がなく2期目の免税が確実になる設計もある
- 本業・副業の繁忙期と決算作業(決算後2か月)をずらす。税理士の繁忙期(12〜5月)も参考に
- 均等割は月割なので1期目が短くても損ではない
- 変更は定款変更+異動届出書で可能(登記不要)。ただし短い事業年度が1回増える

